×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
 
56


LAW side


今日は人生の節目である中学校の入学式だった。
校長の長ったらしい話と退屈な時間を終えた頃には既にサボりたくて仕方がなかった。
小学校が幾つか集まった中学校では新顔と顔見知りが居て、顔見知りの奴は話し掛けてきて軽く交わしたりする。
新顔でとてつもなく煩わしく思ったのは女子の視線と話し掛けてくる複数の声。
男子はあっさりとしているのに女子はやたらネチっこく話し掛けてくるのがイラッときた。
早く帰って彼女に会いたいと思いが募る。
そういえば今日も入学式にビデオカメラを持って椅子に座っていた。
ローもリーシャの高校の入学式に行ったのでその時の嬉しさを思い出し頬を緩ませる。
未だに話し掛けてきている女子が黄色い声を出したり頬を赤くしたりするので果てしなく興を削がれる思いだ。


「トラファルガーくんって部活とかする?」


顔見知りの女子Aが聞いてきたので、そういえば考えていなかったと思う反面帰宅部でも良いと考えてもいる。
特に興味があるものもないし、彼女と過ごす時間が減るのなら論外。
そんなこんなで入学式から一時間以上を経て担任の自己紹介と、クラスの生徒達の自己紹介を済ませた。


「では、この紙を持ってペアを組みましょう」


この時瞬時に担任の考えに眉をしかめる。
たったこんな時間ぽっちで生徒を戸惑わせるつもりか。
ローの考えに沿うように担任の言葉にどうすれば良いのか、誰と組めばと迷う生徒が出てクラスは数分混乱した。
やがて空気に耐えられなかったのか担任の先生は違うプリントを配り、その場を凌いだ。


(三年間、退屈になりそうだな)


小学生の六年間に比べれば短い。
窓を見て雲を眺め、ぼんやりとそう思った。







***







高校の入学式から一週間が経った。
特に中学校と何も変わらない生活を送っている。
これといって親しい友人もいない、作ろうとも思わない。
そんなリーシャを心配してか担任が何か悩みがあるのか、友達は良いぞ、といらぬお節介を焼いてくる。
本当に勘弁してくれと思う。
一人の方が気が楽なのだと説明するのも億劫で担任から逃げるように弁当を片手に校内を歩く。


(どこで食べよ……)


キョロリと辺りを見回すとベンチがあったが人が寝ていたのでピタリと足を止める。
緑色の頭に、制服を着崩していて耳にはピアスとガラの悪そうな男子だ。
ぐーぐーと寝ていて違う場所を見つけようと後ろを向くと、すぐ目の前に女子が居たので驚いた。
その表情は怒っていて、ベンチを睨み付けていたかと思えば徐に男子へ近付きその綺麗な手を丸めて上に振り上げ、勢い良く降り下ろす。


−−ゴン!


痛そうな鈍い音がした。


「こんなところで寝てんじゃないわよ!」


prev next
[ back ] bkm