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53


夏の出来事で、小学生の生活もあと少しというローに夏休みの宿題があるのだと持ち掛けられた。
持ち掛けられた時点で嫌な予感は巡りに廻ってやはりロクなものではない。


「朝顔の観察日記?」

「自信作だ」


と自慢げに見せられたノートを開くと何故か自分の顔が隠し撮られたと分かる写真が晒され、は?と一瞬頭が真っ白くなる。


「間違えた、これな、朝顔」


サッと入れ換えられたノートは朝顔の絵があってそれっぽかったが、今のノートを見てみぬフリは出来そうにない。
今のはなんだと問いかけるとローは俺の秘密の日記だとサラッと言われその清々しさを憎たらしく思う。
リーシャの考えが正しければ今のは朝顔をリーシャに当て嵌めた観察日記になる。
一体いつからつけているのかとそればかりが気になった。





***






ローはうっかり日の目を晒してしまった己の観察日記を握りしめる。
題して「極秘ノート」と内心呼んでいる観察日記は日々のリーシャの行動や言われて嬉しかった言葉を書き記している、言わばバレると色々と恥ずかしいノートな訳だ。
しかし、見られたとしていくらでもシラを切れる。


「今日は、おれの朝顔かんさつ日記を見てもらえたこと書くか」


そして、バッチリ撮った写真も張り付けて完成だ。
日の目を金輪際見せる事はないだろう愛しいメモリーノートを開いてはニヤリと笑い読み直す。
一緒に写真を撮ってもらえないだろうかと不意に欲が出て、急いで下にいるリーシャの元へ向かった。








***








ドタドタと降りてきたローに騒がしいと思いつつリビングのテレビを見ていると、扉が煩く開きもっとゆっくりしろと注意するが相手は聞く耳を持っていなかった。


「写真とりたい」

「勝手に撮ってれば」


適当に返事を返すもローは違うと言い、二人で撮りたいと言ってきた。
面倒なことこの上ない提案に一度は拒否するも嫌だ撮ろうと話をまともに聞かないので静かにして欲しくて分かったと承諾する。
彼に対してはもうこちらが折れるしか解決する方法がないと心得ているので立ち上がってローが用意しているカメラの写る立ち位置に移動した。
何枚か撮るというのでご勝手にと口にすればそうすると返ってきてえらくご機嫌な様子にこちらが面食らう。
じゃあ撮るぞ、と言われ突っ立っているとローがこちらへ来て普通のツーショットになる。
二回目は抱き付いてきて止めてと言うが離さないのでもうそのままいく。
三回目はしゃがんでくれと頼まれ諦めた心は素直に従い腰を折る。


−−ちゅ


頬にキスをされパシャッと一枚。
頭を叩いても幸せそうに笑い続けるので悪態をつくタイミングも無くなる。
次はギュッと手を繋がれ一枚、腕に巻き付かれ一枚とまるでどこかのモデルの撮影かとツッコミたくなる程色々な写真を撮った。


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