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LAW side

電車が発進してもやはり隣の小うるさい女王はローに話し掛けてきた。
煩いと言えればこのイラつきをなくせるのだが、優等生として擬人の学校生活をしている為、それも出来ない。
いっそ何か理由をつけて追い払えないかと考え、良いことを思い付く。


「せんせー」

「せんせーっ!ローくんが呼んでます!」


案の定、ローの呼ぶ空気に反応した女子が声を張り上げて担任を呼ぶ。
よくやった等と褒めた訳でもないのに自慢げに鼻を高くする。
やがて先生が来てどうしたの?と聞いてくるので気分が悪いと訴え、それに女はじゃあ前に来てね、とローを誘導。
内心上手くいったとほくそ笑み気分の悪そうな演技をしながら前に行く。
その途中で男子からも女子からも大丈夫かと声をかけられるが、もしも本当に気分が悪かったとしたら平気な訳がないだろうと呆れる。
まぁ所詮は小学生で、ローの優等生を見破れない同級生だ、多目にみた。
前の席に座り、漸く目障りな女子から解放され安堵。
その時、バスの中から自分も吐き気がと訴える女子が次々と現れ、担任はテンパっていた。
あんな下手くそな演技くらい嘘だと分かれよ、と飽き飽きしながら持ってきていた耳栓で耳を塞ぐ。
完璧に防げないのがアレだが、普通よりはマシというもの。
今だに、パニックになりながらもバスの中を慌ただしく歩き回り生徒の熱や体調を確認する女にご苦労なことだ、と目を閉じた。






バスが着くと自然と目も覚めた。
それに何度トイレ休憩を挟むんだよ、と苛ついてもいて、到着する時間も予定より二時間も遅くなった事に怒りのパラメーターは静かに上がる。
トイレ休憩をする度、お土産や見た事のない物に釣られる同級生のせいでタイムロスだ。
なのに呑気に「やっと着いたね」とはしゃぐ奴等にいい加減キレそうだった。
しかし、自分は優等生。



「まずはここを見学しまーす。一列に並んで下さい」


寝起きに高い声で集合をかけられる事すらイラッとくる。


「わー!おーきいね!」

(……やってらんね)


同級生達は当たり前の事しか言わず、この工場の責任者の男は制服に身を包み小学生にする対応で話していく。
説明されてもよく分からない話をしている事を聞いていてもラチが明かないし、後ろにいながらもリーシャの事をずっと考える事にした。
今頃何をしているだろうか、授業をしているのかと想像する。
速くリーシャの年に追い付きたいと焦る時もあるが、今でも余裕で彼女を落とせる自信はあった。


(早くみっかになれ)


そして、置いてきた手紙にある、ご褒美を貰いたい。
お土産も渡したい。
何もイベントがなければ渡す口実すら出来ない歯痒さに早く大人になりたい、と想いを馳せた。


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