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LAW side


修学旅行の集合場所である学校へ向かう前、離れたくなくてリーシャを抱き締め堪能する。
三日も離れ離れになるのだから今のうちに補給しておかなくては持たない。
いつもよりも強めに頭を殴られたが撫でられるのと大差ないし、向こうから触れてくる事が唯一暴力なので寧ろ本望。
ローは後ろ髪を引かれる思いで家を出る。
そして、リーシャの部屋から隙をついて枕も拝借して代わりに自分のコレクションの一つ、新品のベポ枕を置いてきた。
あわよくばあれでローの事を怒りでも良いからリーシャに思い出して欲しい。
学校に着くと、つまらない担任の長ったらしい説明と周りの同級生の浮わついた煩い会話に早く目的地に行きたいと内心イライラした。
だが、あくまで外面は普通に過ごし、顔もしかめないように気をつける。
大人びていると言われようがこれがローの処世術だ。
親も家に殆ど居なくて、本ばかり読んでいた日常がつまらなかった。
その世界を見事に塗り替えたのがリーシャだ。
毎日家に向かえば必ず彼女が居て、無愛想に出迎える。
そもそも、まともに玄関に入った事など数える程度だからそんな反応は分かりきっているが。


(やっと乗れる)


考えている間に担任の注意事項云々が終わり、並んでいる列が校門の前で幾つも止まるバスに向けて動き出す。
凝った腰と固まった足を解して中に入ると、予め決めてある席に座った。
一ヶ月程前にクラスで決めた班が、バスの座席を決めていたような記憶があるが対して興味もなくどんな班なのか、誰と班なのかはさっぱり知らない。
ローが興味のある人間、又は異性はリーシャただ一人である。


「ト、トラファルガーくん、おはよーっ」


顔はクラスで見たことはあるが、名前は知らない女子に挨拶される。
名札をちらりと素早く見ておはよう、と返す。
リーシャ曰くホワイトローバージョンで笑えば、たちまちその女は頬をほわりと赤く染める。
それに心底くだらないと思い窓を見れば、また話し掛けられた。


「ローくんおはよー!今日は隣だからよろしくねっ」


甲高い声に耳障りだと感じながら振り向けば、全身から自信のようなオーラを放ち笑みを浮かべる女、同級生がいた。
名札をまたちらりと見ると、その名前に覚えがある事に気付く。


(あいつらが言ってたやつか……やっかいなやつととなりになっちまった)


男子が前々からクラスで良く噂にしていたからローでも知っていた。
確かクラスの女子の中でのクイーンだとかトップだとか。
つまり一番クラスの女子生徒の中でのヒエラルキーで言えば『頂点』なのだろう。
全く女というものは面倒な生き物だと染々感じ、それに比べリーシャはサバサバとしていて、ローの中ではやはり最高ランクの女だ。
緩みそうになる頬に耐えていると、バスが漸く動き出した。


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