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- ナノ -
 
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ナミだろうと思い何の躊躇もなく振り返ると、

「最初に言うが俺は目立つつもりはなかった」

「……………………」

ローだった。
何故見つけられたんだという疑問と開口一番がそれかとため息を盛大につきたくなる。
目立つつもりはなかったと言っているが目立たない方法を探してもいなさそうな格好のローに呆れて無言しか返すものがなかった。
ナミ達の視線が二人を見ている事に気付き取り敢えず肩から手を退かしてナミ達の所へ向かう。
少し驚いている彼女達はリーシャが来るのを見ると意識を取り戻したようにフランクフルトをムシャムシャと一心不乱に食べているルフィの首根っこを掴む。

「取り敢えず一旦休憩しましょ」

ナミの言葉に同意して、ローも連れて講堂の横にある休憩スペースへと座る。
ちゃっかりローも座ってきては買っておいたのだろう屋台や売り物の食べ物を袋から出してこちらに渡してきた。
拒否しても尚、渡してくるので諦めてナミへと視線を寄越す。
こちらを珍しそうに見ていて、恥ずかしいところを見せてしまったと今になってローの存在を恨めしく思う。
だから来ないでとあれだけ釘を刺したのに。
ちらりとローを見て軽く睨んで見ても本人は知らないフリを突き通している。
そんな空気を打破したのは、予想もなくローの隣に腰掛けたルフィであった。
気兼ねなく話しかけて、ローが眉を寄せて不審者のように見るのも関係なく、こう言うのだ。

「なァ!その食いもん俺にくれ!」

と、ストレートに述べるルフィに対してローは怪訝な顔を向けた。

「てめェ誰だ」

まぁ、そういうのは当然だろう。
何故なら二人は今初めて顔を合わせたのだし、初対面なのだから。
ルフィの目は食べ物に釘付けだが、ローの疑惑に満ちた敵意の視線に仕方なく名乗るルフィの寛容さに思わず拍手を送りたくなる。
あの近付きにくいローの目を難なくかい潜り話しをする男子はある意味で凄い。
普段は狐の皮を被るローがこんなにも素で接するというのも初めてみたが。
改めて自己紹介し終わった二人が屋台の食べ物を欲しい、駄目だ、と言い合うのを見ながら平和だな……と一人ぼんやりと向こう側に視線を遣る。
声が聞こえなくなる頃に視線を二人に遣れば、ローは心底疲れた表情をしていて、ルフィはホクホクとした満足そうな顔でローが買ったのだろう食べ物を平らげていた。


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