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ローの中学校の文化祭が終われば次はリーシャの高校の文化祭だった。

「来ないでね」

「だが断る」

一刀両断された会話。

「来ないでね」

「絶対行く」

「来ないで」

「行かないという選択肢が俺にはない」

最終的に打破された言葉を言っているのは、もう一年以上の付き合いになるロー。
勿論付き合いに、とはご近所さん的な意味でだ。
中学校の文化祭に来ただろうと言われたが、ここで注目して欲しいのは『来た』のではなく『来るように仕向けられた』のだ。
またもやローの親が、良ければ息子の学校の様子を見に行って欲しいと頼まれた。
断ればそれで良いのに、このトラファルガー家によりジワジワと染められた自身の思考とお約束と母親の期待に満ちた目により、断るという道がいつの間にか土砂崩れ並みに寸断されていたのだ。
由々しき洗脳レベルだが、トラファルガー・ローの母親や父親にはかなり良くしてもらっている。
お醤油やらベタなものから始まり、彼らから年中不在のトラファルガー家を自由にして良いという事を言われていた。
しかし、殆どローがリーシャの家に来るので、彼が勝手に家から色々持ってくる。
例えば食材やらぬいぐるみやら枕やら何やら……エトセトラ。
とにかく、つまり、ローが言う来た、という言葉には多大なる語弊がある。

「あんたのお母さんに言われて来ただけ。心配させるような不良になってないか報告する為にもね」

「そんなこと言って……本当は楽しんでたのにな……」

「た、の、し、ん、で、な、い」

「とか言って……食いもん完食したよな」

「揚げ足一々腹立つんだけど。それに食べ物粗末にするわけにいかないだけ。そして、高校の文化祭には絶対、来ないで」

「行く。決めた。絶対」

何故か単語で締め括るローに今回も諦めねばならぬのかと萎える。
しかし、彼が来るとリーシャの高校生活はある意味終わるも同然。


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