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さすがにこっちも年下に払わせるわけにはいかないと自分の分は払うと彼に進言する。
すると、ローはにこりと作ったと分かる笑顔を浮かべ首を振った。

「こういう時くらいは俺にさせろ。じゃねーといつまでもお前に追い付けねェ」

(追い付けない?何に?)

言われている意味がさっぱり解らなくて首を傾げていると今だ顔を赤くしている女子にローはサッと自然に代金を渡す。
金額は提示されている額よりも半分だったのできっとサービスしたのだろう。
初めにタダで渡そうとしてきたからまだマシなものだ。
ローは自分の容姿が周りにどんな影響を与えるのかを熟知しいる。
なのに無料にさせなかったのは見栄か、単にそういうのはプライドが許さないからか。
本心は本人にしか理解出来ないのであくまで推測に過ぎないが。
しかし、クラスや学校の女子を手下に納める事はしているのでやはりアザとさは健在している。
そんな彼の所業を男子はどう思っているのかと少し気になりもしたが、ローは上手く周りを操るタイプだから、そこも上手く調整していそうだ。
食べ物を片手に歩き続けては、屋台を回り次々と食べ物やアトラクション風の出し物をしている店に行ってはそれをやった。
輪投げやお化け屋敷など中学生の時にはやらなかった事をした。
自分は何をしていたのかというと、本を図書館でひっそりと読んでいたくらい。
特に当番もなくやる事もなく、友人も作らなかったので三年間は文化祭という行事に全く興味など皆無だった事を改めて実感する。
でも後悔も何もない。
楽しいと感じないものに時間を費やしたくなかったのだ。
その時の己の行動がベストだと認め、疑うという事は考えないようにしている。
そもそも中学で文化祭なんてこの学校くらいだ。
エスカレーター式の学校だからという特色だろう。
リーシャは隣を楽しそうに歩くローをちらりと見て、自分の手の中にある食べ物に目を移し黄昏に身を委ねた。

(私は、普通に成り切れない子供……)

無関心は嫌悪よりも質が悪い。

「具合でも悪いのか」

「悪くない」

「保健室は向こうだぞ」

「悪くない」

「ベッドもあるぞ」

「…………………………」

仕切りに保健室を進めてくるローにもう何を言っても無駄だろうと黙秘を実行した。


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