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隣の家からピューヒョロと笛のような音色が聞こえてきた事により、朝目覚めた。
何なんだと音の正体を探るとトラファルガー宅から。
ローに違いないと確信して再び布団に潜ると笛の音が消えた。
二分もしない内にローがリーシャの家に侵入した音が聞こえ、放っておく。
バタバタと階段を上がる音と、寝室に入ってきた気配に最早起きるという選択肢は無くなる。



「今、リコーダーふいてた」

「……………………ここで吹かないでね」

「めざましに一曲」



またまたピューヒョロと吹き出したローにリーシャは布団から起きてストップをかけた。
先程も隣の家からでも聞こえた音を目の前で聞かされるなど鼓膜が危ぶまれる。
中学生になってからはリコーダーは屋根裏行きとなりお払い箱となった。
なので楽器を見るのは久々だ。



「ふいてみるか」

「いや、いい。間接は無理」

「ちっ」

(舌打ちしたな今)

「………………………ところで、何でリコーダー朝から吹いてるわけ」

「あさってに音楽のテストがあるかられんしゅー」



ローはリコーダーをケースに仕舞い下に置いた。


(練習しなくても出来る天才だと思ってたけど………)


走るのも勉強することも努力の上に成り立っているのだろう。
しかし、頭の回転は末恐ろしい程速いので早々に油断は禁物。


「ていうか、私は眠たいし寝たいから今すぐ部屋から出てって」

「なんか食べたい、おなかすいた」

(じゃあ家で食べてきたらいーのに)


と言いたかったが一人でいつもご飯を食べるローの、一緒に食べたいと言いたげな空気に押され口を閉口。
短く溜め息をつくと布団を退かし下へ向かう。
見るまでもなく彼もついてきていて、擦り寄ってきた犬を抱き上げていた。
朝食は昨日のオカズだった餃子とレバーが残っている事を思い出し、作る手間もなく冷蔵庫から取り出す。


「きょーは昨日ののこりか?」

「まあ、少ししかもう残ってないけど」


すると、ローは嬉しそうに電子レンジへお皿を入れると慣れた動作でボタンを押す。
勝手知ったる、というところだ。
もう慣れてしまえる程この子供と過ごし翻弄される事にも慣れた。


「いただきます」


二人で手を合わせ朝食を食べ始めた。


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