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classmate side 1

トラファルガー・ローはクラスにおいて重要な人間である、と同じクラスの自分は思う。
主に勉強から始まり、体育に至るまで頭脳明解な主要で活躍してくれる。
自分の名は、普段は隠れ脇役として名無しだと名乗りたいところだが、今回は語り手として一応名前を知っておいてもらった方がいいだろう。



「かつや」



呼ばれたのは自分の苗字である。
本名は『勝山正弘(かつやまさひろ)』
カツヤと呼ばれ、親しまれる呼び名を満更でもなく気に入っている。
単純だと言われるが、誰も損はしないから気にしない。
呼ばれて顔を見れば、今から語ろうとしていた張本人がいた。



「どーした、トラファルガー」

「これ……プリントだ」



ポン、と手渡されたのは何十枚も重ねられた自主用のプリント。
あっけらかんとした流れに呆けていると、ローはじゃあな、と放任した。
待て待て、と心の中で突っ込む。
どこまでご都合主義なんだ、と口元が引き攣る。
トラファルガー・ロー、改めて言えば−−優等生かつ、利口な同級生。
巧妙かつ多才な才能を持ち合わしている他、本性がとてつもなく裏と表がある。
例えば、大人には顔色を良くして、同級生や年上には面倒だと無気力を発揮する事も。
だが、最近ローが時々見せる顔がある。
それは窓辺に席があるアイツの表情が黄昏れるように一点を見詰めて考え込むような時。
なんとなく、休み時間の時も話し掛けられない様な雰囲気で躊躇する。
一体何を考えているのか、女子達もローの表情の変化に黄色い声を上げて色々と話題にしていたり。
カツヤは束ねられたプリントを持ったままローを見た。
とっくに机に座っている優等生は肘をついて窓の外を見ていて、丁度飛行機が上空を飛んでいる。
本当に、最近ぼんやりと考え込むようになった気がするが、差ほど違いはない。





数ヶ月後に学芸会があるから、クラスで委員長が何をするか、という決を取った。
ローをチラッと盗み見ると、やはり窓辺で横を向いていて、黒板には一瞥も向けていないようだ。
不思議と違和感なく窓を見る様は同じ男としてもかっこいい。
スポーツは出来るし、勉強も常に満点。
言うことなし、と言ってみたいが、ローにも性格という欠点が存在する。
完璧過ぎても近付きにくいから、少しくらい出来ない事があった方が喋りかけられやすいと思う。
黒板に目線を戻すと、候補が既に出終わっていた。


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