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バレンタイン


教室に入った時からチョコの甘い甘い香りが鼻孔にちらつく。
友チョコ、逆チョコと世間ではバレンタインデーと呼ばれるイベント当日なのだから当然だろう。
その光景を見ながら授業を受け放課後になるとサッと帰宅する。



「あの……」

「え?」



滅多にロー以外の声に止められる事がないリーシャは聞き覚えのない声に驚き振り返った。
見覚えのあるようなないような男子生徒がいて制服が同じなので同じ学校に行っているということは理解する。
呼び止められ次の言葉を待っているとスッと包装に包まれた薄い箱を渡され目をしばたかせ反射的に受け取った。
男子は頬を紅潮させマフラーで顔を隠すように俯くと早足で去っていく。
見送ると放心状態だった体や気持ちを何とか動かし帰りの道を歩き出した。
グッと引っ張られる衝撃に後ろを見ればローが不機嫌な顔付きで両脇に紙袋を持って立っていたので何となく事の次第は想像出来る。
ちらりと一瞥するとそのまま一直線に家へ向かうとローもやはり共に入ってきた。
居座るつもりらしくチョコが入っているだろう袋をリビングに置き、こちらにやって来て何故か手に持っていた 男の子から貰ったラッピングされたチョコの箱を掠め取られ一瞬怯んだ。


(いきなり可笑しくなった……………………………)

「何がしたいわけ」

「おれが、」

「?……わっ」



いきなり俯いたかと思いきや跳ね返ったスーパーボールのように顔を上げて取られた方ではない包装された箱を突きだしてきた。



「おれが、一番さいしょにおまえに渡すんだ」



言い切ったローに唖然としながら受けとると彼は満足げにリビングにあるソファへ座り寝ていた犬を撫でながらテレビスイッチの電源を押した。
数秒固まっていたリーシャはハッと我に返りまじまじとチョコだろう包装を見詰め二階に上がりそれを机に置けば制服から服に着替えた。貰ったラッピングを開けると中にあった手作り感が漂う、形がバラバラのチョコを一つ摘まみ上げ口に入れる。
なかなかの味で小学生が作るレベルとは思えなかったがまぁ味が良ければ文句はない。
箱を再度見てバレンタインという行事を実感させられた。











チョコに翻弄される


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