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湯舟から桶で湯を掬い身体にかければポカポカと心地良くなってきた。
ガラ、と前触れなく開いた音がするまでは。



「…………………………意味不明な行動は慎んで」

「いっしょに入ろうとおもった」

「ふつーは想像だけで留めておくものだって」



何故か風呂にいきなり入ってきたローは腰にタオルを巻き付けて立っていたので取り敢えず注意した。
構いはしないと、ずかずかと入って来る彼の精神を疑いたくなるが身体にタオルを事前に巻き付けておいたので悲鳴を上げるような事態にはならない。
唯一悔しいのはまだシャワーも浴びてないからだ。
身体を洗うにはどうしてもローに見られてしまう可能性が高い。
別に問題ではないが何となく嫌だ。
弱みを握られそうで怖い。
そんな心情を込めて彼を睨んでいるとローは徐にこちらへ近付きシャンプーとタオルを手にした。
何をするんだろうと見ていると、いきなりシャワーの蛇口を捻る。
冷たい、と感じた途端温かいお湯が出てきて安堵。
ローを捕まえる為に伸ばした手はひょいっと避けられた。
彼は背後に忍び寄ると泡立てたタオルを背中に当てがい、いとも簡単に、身体に巻いていたリーシャのタオルを解く。
胸などをとっさに隠すが彼は目もくれず背中をゴシゴシと洗い始める。
どうやら背中を洗っているようだが一言くらい欲しい。
それにしても、無表情かつ機械的に体を洗う姿に少し拍子抜けする。
もっと興奮するか凝視しても可笑しくない性格なのにこれはどういう心境の変化なのか。
黙って体にシャワーを当てるローにさっさと終わらせようと途中で蛇口を止める。
急な行動に彼は何か言いたげだったが、小学生にシャワーを全体的にかけると風呂に素早く入れた。
抵抗しなかったことを意外に思いながらシャンプーのボトルに手を伸ばす。
視線を感じたまま全て済まし交代だと言って彼には湯舟から出てもらう。
すんなり交代したローは一人で全てを済ましリーシャが湯舟から出ようとした時に肩を押さえて身動きが出来ないようにしてきたので手を叩く。



「手、邪魔」

「一緒にはいるためにおれはがんばったんだ」

「いやいや、私承諾してない」



何を勝手な事をと呆れる。
そんなことはお構いなしにと、ずかずかと入ってきたので、かなりきつく詰めた。
全く広くない湯舟ではやはり密着してしまう。
湯気が揺らめく中でリーシャの息をつく声が響いた。


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