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冬休みの宿題をする為(ため)だけにリーシャの家に来たローはもう手に負えないと悟るには十分だった。
勝手に上がっていって勝手に帰ればいいと思い放っておく。
だが放っておかれないのはいつもの行動で既に経験済みだ。
宿題を持ってきてこれは何だと体を寄せてくるし、その教材でテレビの画面が見えない。
小さな青筋が動き蜜柑をテーブルに静かに置くと鉛筆を取り上げそこに記入した。
これで終わりかと思われた子供の構って攻撃はそつなく行われ挙げ句いつの間にか膝に座っていたので目をすぼめた。
いい加減にしてと口にするとじゃあ最後と、鉛筆を持つ手を上から握ってくるという行動に驚く。



「何やってんの」

「かんじを覚えるためにかんかくをしっておこうと思ったまでだ」



口をへの字にするリーシャに構わずキュッと力が込められる。
そのまま動かし最後まで書くと彼は嬉しそうに笑って教材をランドセルへ入れた。
呆気なく離れた体温に唖然としていると今度は隣にピタリと擦り寄ってくる。



「引っ付くな」

「いいだろ、さみーんだ」

「私は暑い」

「じゃあもっとちかよるべきだな」



ギュウッと抱き着いてきたローに脱力しテレビに視線を動かした。
ふと窓に目を向けると白い雪がチラチラと舞っていたのでもうそんな時期かと感じ彼の反応を窺おうと横を向けばあどけない顔で夢の中に入っていた。





――翌日、降り積もる雪を楽しむ子供と犬がいてそれを眺める少女が一人いた。
例に漏れず足腰まで積もった雪をかき集め鎌倉までとはいかないが小さな雪だるまを幾つも作っているローに子供らしい行動だと眩しく思え、ぼんやりと眺める。
やがて一段落すれば太陽に溶かされた雪が水になり道路は所々水溜まりが出来ていた。
リーシャと呼ばれ振り向けば雪だるまを一つ手に乗せたローが溶けるのは嫌だと言うので手段として冷蔵庫行きを提案すれば上機嫌に口を緩ませる小学生。
お尻の砂埃を払い限界に戻ろうとすればいきなり上から雪が落ちてきて両者もろとも冷たい固体を被る。
不運な出来事に彼はすかさず風呂に入ろうというがそんなタイミング良く沸かしているわけがない。
しかし、



「外に出るまえにわかしといた」



と言うので、折角だと部屋に入り、取り敢えず着替えを用意する。
先にローが入るように言うがリーシャに入れと駄々をこねたので仕方なく脱衣所に向かった。


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