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クリスマス


ついに恐れていた長期休暇が迫りクリスマスへのカウントダウンが始まった。
何が恐れることなのか、それはローと言う名のサタンだ。
彼の親は例によって連日勤務でギリギリクリスマス当日には帰ってくる。
クリスマスイブは小学生とリーシャの二人きり。
どう足掻いても避けられないイベントに並々ならぬ意欲を注いでいるのはやはりロー。
ベポ専用のクリスマスのコスプレを用意し自宅からリーシャの家まで中型のクリスマスツリーまで持って来た。
飾り付けもしてLEDライトを点滅させ頂点に星の飾りを乗せる作業をぼんやりとリーシャは見ているだけ。
一応毎年クリスマスイブがある事は知っていたがあまりした事はない。
父が居た時は帰りにケーキを買ってきて朝起きるとプレゼントが枕元に置いてあった。
プレゼントの中身はジャンルがバラバラで、当然ながら父に何が欲しいと言われて大体年中使える物を口に出していた。
例えばドライヤーやブラシ、キッチンセットなど。
一人じゃないクリスマスなら欲しいものはなかったが、どうしても必死に何が欲しいか尋ねてくる親に要らないと言えなかったのだ。
でもここ数年はがらりと変わりクリスマスも正月も現代で一大イベントと数えられるものを何もしなくなった。
それはする意味を見出だせなかったからで、必要ないと他人事になったのだ。
今だって知らぬ爆ぜぬでローの行動を眺めては雑誌をめくる。
暖かいコタツに眠くなり雑誌の内容も頭に入って来ない。
うとうととしかけていた時、不意に肩を揺さ振られ意識が少し戻る。



「ん……なに?」

「コタツでねたらカゼ引くぞ」

「十分だけだから平気……だって……」



もう睡魔から抗えず完全に夢の中へと引き込まれた。





目が覚めたのは一時間後で、いつの間にかクリスマスツリーが全体的に完成していて、その下に包装されたプレゼントが置いてあった。
思わずそこへ近付き箱を見詰める。
怖ず怖ずとリボンに挟まれていたメッセージカードを抜き取り開く。



『メリークリスマス
よい子の君にはプレゼントをあげよう。
サンタより』



読み終えると箱の包装を剥がして中身を見た。
そこにはDVDのディスクが入ったジャケット。
疑問を抱きながらいそいそとDVDプレイヤーにセットしてテレビの電源を入れた。


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