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35


四時間目終了の合図と共に親達が教室へ戻ると、フッと何かのスープのような香りがしてきたので教室の中を見てみると給食台の上にせっせと生徒達が給食室から調達してきた給食の献立を運んでいた。
懐かしい物に思わず小学生の時の思い出が蘇る。
ある子が給食用の鍋を零して他のクラスの余りから調達したり、じゃんけんでおやつを賭けた争奪戦を眺めていたり。
物思いに浸っていると下からお盆を渡される。
下を向くと不思議そうにこちらを見ているローだった。



「あっちにならべばうけとるだけだ」

「わかった」



言われた通りに列べば既に親も子供も並んで列を作っていた。
マスクをつけた生徒達がプラスチックの深皿にオカズを盛って渡したりしている。
隣にローも列び渡されたオカズを受けとっていく。
最後になるとどこへ座ればいいのか分からず首を捻っていると、やはりローが「こっち」だと誘導する。
どうやら彼の席で食べるようになっているらしく、周りも同じだった。
お盆を机に乗せると用意されていた椅子に座る。
こういう時は先に食べていいのか分からない。



「いつ食べていいの」

「ぜーいんがすわって、せんせーがはなしたあとだな」



やっぱりかと納得する。
それから数分後、担任が今日は子供達と楽しく食べて下さいという言葉を述べて「いただきます」を合図にご飯を食べ始めた。
無表情でいただきますと呟いた後、無言でローが席を立つ。
どうしたんだと横目で見ると給食台の周りに子供が数人集まっている場所へ向かう彼。
周りの話し声や談笑で何を言っているか少ししか聞き取れなかったが、どうやらじゃんけんをしているようだった。
何をもって勝負しているだろうと考えているとローが牛乳を持って席に帰ってくる。



「ロー、牛乳好きなんだ」

「ちがう。せをのばすためだ」

「は?」



思わず食事の手を止める。



(牛乳で、背を……伸ばす?)



意外過ぎる言葉にどう返せばいいのか。
まさか彼が牛乳をじゃんけんで勝ち取るようなことをするとは思わなかった。










五、六時間目は体育で外に全員が移動した。
種目はドッジボール。
学生達は体操服に着替えて嬉しそうに準備体操をしていた。
先生が先導して体操をする姿にまた昔の思い出が蘇る。
強い子と弱い子の差がある競技はとことん苦手な方だった。


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