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実験の道具は予め用意されており担任が黒板や言葉で指示を出して手順を説明する。
全てを説明し終わるとローは手際良く実験の事前準備をし始めた。
そういえば得意な科目は理科と体育だと言っていた気がする。
余談だが『保険体育』も得意だと至極楽しそうに話していたのに鳥肌が立ったものだ。
テキパキと動くローに女子達は感無量で騒ぐ。
親の前というので興奮しているのもあると思うが。



「ローくん。そんなことしなくてもわたしがするのにー!」

「そーだよっ。ローくんがケガしたら大変だもん」

「だいじょうぶだ。やりかたはわかってるから」

「さすがローくん!」



さすがと褒める所が可笑しいと思う。
それに、ケガをしたら大変だと言うべき立場が逆転している事に言葉を失った。
女子達が尽くしている姿は正に『ハーレム』を連想させるには十分。
今からスライムを作るということで周りの親達は苦笑混じりに実験台に乗る緑の絵の具を見ていた。
リーシャは何とも思わないし、スライムだって触れるが大半が触れない人がいるようだと観察する。
ローの作業もチラッと見遣れば黙々としていた。
何かと何かを合わせスライム状にした彼は得意げにコップへ入れて渡してきた。
中には小学生の時に見たことのあるモノが入っていて、そういえば理科の実験で経験した事を思い出す。
スライムの構成を全員が済ませると時間が余ったのでべっ甲飴を作る事になった。
べっ甲飴は簡単な作業で砂糖と水を混ぜてフライパンを乗せたプレートにアルミホイルに入れ、完成品を火にかけるだけ。
単純な手順で直ぐに終わったべっ甲飴作りは好評だったようで周りの雰囲気はほのぼのとしていた。
出来上がった飴を舐めると思っていたより美味しかった事に驚く。
三時間目と四時間目は保護者説明会で違う教室に親達が集められる。
生徒は勿論、授業続行だ。
説明会は封筒だけ貰ってきてくれればいいとローに言われているが、一応違う紙に説明の追加や詳細を書き込んでおいた。
ただ聞くだけというものは時間が遅く感じるものだと欠伸(あくび)を噛み殺す。
やっと終わった頃には四時間目終了まで後四十分前。
休憩しようと封筒を抱えると親達が楽しげに雑談するのが見えた。
年齢も世代も違う自分が親達の世間話に入れるわけもなく静かに教室から出ていく。
校舎の開いた窓から冬の風が入り込み、リーシャは服の衿を顔に寄せた。


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