×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
 
33


という経緯を辿ってリーシャは今、学校へ赴いているわけだ。
受付を済ましてローのいるクラスへ向かうと周りからちらりと不思議そうな視線を終始受ける。
中学生が参観日に来る事がそれ程まで珍しいらしい、と当然予想していた反応に内心溜息をつく。
途中で「こんにちは」「運動会の時にも来ていましたよね」等、挨拶されてそういえばと思い出す。
運動会でローが大きな声で熱弁――もとい、『来てくれて嬉しかった』アピールを公開したことを。
あれで場の雰囲気が緩和され大人達に健気な子供と中学生という印象が広まった。
遠い目をしながら教室の手前に来ると既に何人もの親が教室の後ろに来ていて少し身体が強張る。
あと数分で一時間目が始まるのでここに来て帰るわけにもいかず、意を決して教室に入った。
一斉にこちらを向いたたくさんの目は呆気なく前を向く。
リーシャが教室に入ってきたタイミングで教卓に立つ先生が元気よく挨拶し出す。
保護者に向けて「今日は忙しい合間を〜」から始まり「よろしくお願いします」と授業が始まった。
一時間目は国語らしく教科書を音読という懐かしい場面が見れて、子供達は親の前という緊張があるのか極端に大きすぎたり小さかったりする声で朗読していた。
そんな中、ローの番がやってきて視線が集まる。
プレッシャーが掛かって読みにくいのではないかと思ったが、そんなことはなくスラリスラリと滑る様に読んだ。
絵に描いた優等生に見えるローは保護者にもクラスにも受けが良かったようで拍手を浴びていた。
ニコッと好青年もびっくりな笑顔を浮かべて周りに「ありがとう」と言う姿にリーシャ以外は間違いなく心を打たれた事だろう。
その後も授業は続き、二時間目は理科。
保護者も参加する事が出来るとお知らせの紙に書いてあり、理科の実験を行う為に理科室へと移動した。
ピチャッと水道管から伝った水の音を合図に各自親と子供が交互に座る。
ローの隣に自ら座る行為に慣れていないからか、とても躊躇して近寄った。
彼はリーシャの顔を見るとニッコリと笑う。
すかさず距離を取って椅子に座るが、ローは距離を詰めてきた。
釈(しゃく)だが今は我慢するしかないと授業が開始するのを今か今かと待つ。
隣の親子や正面にいる親子が一テーブルに四組いて、女子生徒が四分の三人居る事を疑問に思った。
男子がローだけという組み合わせは何かの決まり事のようだ。


prev next
[ back ] bkm