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すると、二人三脚の競技の用意を整えたローが蔓延の笑みでこちらを見た。









「“おねーちゃん”きょーはありがとうっ。“ぼく”、きょーはだれもこないかとおもってたから嬉しい!“ぼく”がさみしくないようにあさからがっこうにきておうえんにきてくれて、いまねっ、すっごくしあわせなんだ!」



やや大きめに、周りの親達や声援にも聞こえる音量でペラペラと喋り始めた。
あまりに唐突の発言に不意を突かれて返事が曖昧になる。



「あ、いや……」

「きょーはがんばろーね!」

「………………う、ん」



としか、言いようがなかった。



「若いのに、偉いね」

「え」

「お互い頑張りましょうね」

「は、はい……」



その会話に周りは同情と感心の眼差しでリーシャ達を見ている。
隣にいた親達が話かけてきたので呆気になりながら何とか返事をした。
ローの『策』がこのことだと気付いたのは競技が終わった後だった。



「もう協力するような競技はない?」

「ない。あれだけだ」



ローの安心する返答に一息つく。
意気込む周りに対してリーシャ達はマイペースな速度で走った結果、二位だった。
身長差が他のチーム程なかったからかもしれない。
悠々とゴール出来た時は親達に申し訳なく思ったが、向こうは別にといった風に暖かい目で自分達を見ていた。
何なんだだろうと訳がわからなくなるくらい動揺するしかない。
休憩の合間にローはクラスに戻ったようで居なくなっていた。



(神出鬼没の称号も加えておこ)



今のところ、リーシャのローに対するプロフィール的なものが完成しつつあった。
まず『ブラックとホワイトな性格』『ねっとりとした執着心』『子供ながらに大人顔負けな話術』から始まる内容だ。
他にも色々とあるが、挙げればキリがない。
特に『二重人格』も入れた方がいいかもしれないと思ってさえいる。
リーシャには素で接してくるが、他には優等生ぶっているのだし間違いではないと思う。
時々本当の年齢の様にあどけない表情や行動をするから、困り者だ。



次のプログラムは組体操らしく、クラス別に人がグラウンドに集まっていた。
担任の先生達も各自見守りつつ指示を出している。



(ローはどこに)



キョロリと全体を探してハチマキの色を頼りにカメラを動かせば一番上に鎮座していた。


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