×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
 
20


学校から帰ると玄関前に居座っているランドセルが見えた。
合い鍵を持っていると言ったのに使わないのかと不思議に思いながら家の前に着くと小学生と目が合う。



「リーシャ、とりあえず中にはいるぞ」

「了解した覚えはないんだけど」



聞く耳を持たないローは早速玄関の扉を開けて家の扉を開けるのを今か今かと待っている。
仕方がないと半ば諦め鍵を差し込むようになった自分はかなりの面倒臭がり屋だと思う。
ベポが出迎える玄関から始まりリビングへと向かって鞄を部屋に置きに行く。
ついでに制服も脱ぎに行こうとスカーフを外しながら階段を上がる。




着替え終わり階段を降りてリビングに戻るとベポを撫でたりして戯れるローの姿があった。
話とは何かを問う前に彼は一枚の紙をリーシャに差し出してきたので目を通す。



そこには『運動会のお知らせ』と記入されていた。
一体どういう意味だとローの意図が分からず困惑していると彼はさも当然だと言うように、



「おべんとうはじさんだ」



持参と紙にも書いてはあるが、何故自分が行かなくてはいけないのか。
母親や父親は来れないのかと聞くと一度も来た事はないらしい。
成る程と、意図は理解したがやはり行く理由も必要もないと思った。
紙をローに返却すれば拗ねたように下を向く。



「おれだって……だれかにきてほしーんだ」

「……………従兄弟とか、いないの?」



影を背負ってふて腐れた空気を漂わせるローに可能性は低いが取り敢えず聞いて見ると「いない」だった。
下を向いて時折視線をこちらにチラつかせる相手に今回もか、と諦める。
苦渋とも苦肉とも言える決断にイエスと答えるとローは表情を明るくさせとても喜んでいた。






運動会は土曜日だということで、今週の今日に行われる。
天気はローの味方かと思ってしまう程の晴天。
朝から少し多めに作るお弁当をちゃっかり見に来る小学生に追い出すのが大変だった。
キラキラした目でお弁当とリーシャを交互に見られて眩しいったらない。



(あんな子供でもまだ子供ってことか)



誰かに運動会へ来て欲しいだなんて寂しげに俯く姿が脳裏に浮かぶ。
やはり家庭訪問にも来れない程忙しいからか。
仕事だからと割り切れる程、大人ではないのだと当然の事を思った。
お弁当を風呂敷に何とか包み、水筒やハンカチとタオルを確認する。


prev next
[ back ] bkm