16
翌日――トラファルガー宅にお邪魔した。
勿論、それはローが良いと招いたからだ。
否、リーシャが行ってもいいかと聞いた事から始まる。
「今日はおやいねーし」
「へー、そーなんだ」
いつもの事なのでいつもの切り返しをするがローは何故かいつもよりも落ち着きがないように見えた。
リーシャがわざわざ家へ土曜日に来る事や家自体に招いたことがないからかもしれない。
パタパタと部屋から出て行く姿を見送ると早速辺りを見回し『合い鍵』がありそうな場所を探す。
取り敢えずローの部屋に来たのは自分の家の鍵をコピーしたという発言を聞いてしまったから。
普通に見過ごすことも出来ないので部屋を詮索させてもらう事にする。
先ずは机の上を見る為に立ち上がり近くまで寄った。
キャラクターのポスターが挟んであったりシールが貼っていないシンプルな机
ちらほらと白熊らしきテンプレートが机の間に挟んであったり、小さい白熊のフィギュアが机の前の端に置いてあったりしたのでローは白熊が好きなのかとぼんやり感じた。
鍵はなく小学生にしては少しレベルが高めな参考書やドリルが机の本立てに並んでいる。
やはり努力もしているのかと少し感心しながら横の下にある引き出しも確かめようとした時、不意に腕を捕まれ振り返った。
「なんだ、ローか」
「ジュース持ってきた」
「ありがと」
詮索は一時中断し、ジュースに手を伸ばそうとすれば彼にベッドに座ればいいと進めらたので腰掛ける。
ローも横に並べばニヤッと口元を上げて少し高い声音で話し掛けてきた。
「リーシャが家にくるなんてな」
「気まぐれ」
「それでもおれはうれしい」
「そ」
本当に嬉しそうにジュースをストローで啜る姿に三パーセントくらい罪悪感を感じた。
「お昼はどーすんだ」
「あー……」
「うちでたべていけよ」
「まぁ、結局どっちでも変わらないか」
ローの家で食べてもリーシャの家で食べても恐らく彼は付いてくる結果は見えているので今回はこっち側でご飯を作る事に決めた。
いざ、冷蔵庫の中身を見に行こうと立ち上がると確認事項をまだ聞いていないことを思い出す。
「冷蔵庫、開けていいの?」
「ああ。見ても、使ってもいい」
ローが言うなら構わないのだろうと判断して再び冷蔵庫に向かう。
うちの冷蔵庫とは大きさや……何もかもが違った。
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