13
対応することに疲れたリーシャは部屋から出て行きリビングへと戻った。
「喉渇いた……」
「ジュース」
「!?」
いつの間にか隣にいたローにびっくりして、ジュースを差し出され反射的に受け取ると交互に見遣る。
ありがとうと口にすれば照れたように頬を染めた。
こういうところは可愛いげがある。
一息にジュースのコップを煽れば喉が潤った。
「び薬も入れたけど……どうだ?」
(……………………えげつな)
「クラクラスルカモ」
面倒になって適当に発すれば「ほんとーか!」と目をキラキラさせるロー。
キラキラするところが違うと思う。
脱力しながら思えばソファに寝転んだ方がいいと急かしてくる。
口元緩ませて何言ってんだこの子。
(もういいや)
それも面倒になりソファに寝転ぶとうとうとと眠たくなる。
「ねるのか?酔うとあまえたりしねーのか」
「あんな微量で酔わないし。遺伝子からも実証済み」
リーシャの父親はお酒に強い。
ならば自分が強くても不思議ではないのだ。
残念そうな顔をするローを閉じそうな目で見る。
「ローも寝れば」
「もちろんだ」
そそくさとただでさえ寝ると狭いソファにローが来て更に狭くなる。
誰がこっちに寝ていいと言ったのか。
しかし、子供特有の体温にまぁいいかと心地好い眠りに誘われるままに目を閉じた。
これは、どう反応すればいいのか。
学校から帰ってくると不機嫌に身体のあちこちにキズを作ったローが玄関に立っていた。
「けんかした」
開口一番に言われ無言で玄関に入ればローも勝手に入ってきた。
「ちりょー」
治療という言葉に、さすが両親が医療関係の仕事に就いているだけある。
「あいつていど、なんてことなかった」
「そもそも喧嘩の理由は?」
三対一だったが勝ったのだと勝ち誇った顔をされたが特に何とも思わない。
リーシャは喧嘩や物事には至極傍観している方だし、痛いのは嫌いだ。
「ベポをいじめてた」
「ベポ?」
「犬だ」
聞けば、ローが密かに愛でているらしい。
「ふーん。まぁ誇ってもいいんじゃない?」
「なんでだ」
「だって犬を守ったんだし、胸を張ればいい」
ローの頭をくしゃりと撫でると彼は感極まったように抱き着いてきた。
「やっぱり、さいこーだ」
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