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 02

俺の言葉に泥棒猫屋は、ありえない。と言い

「だって今日はあの子とショッピングに行く約束してたのよ…?」

と言った。

確かにおかしい。

俺はずっとリーシャと付き合ってきたが、あいつが約束をすっぽかすなんてするような奴ではないはずだ。

「なにかあったのか気になってあんたに電話してみたけれど、そこにもいないなんて…」

「泥棒猫屋、あいつは俺が探す」

俺はいても立ってもいられなくなり、頼むわよ。という声を聞くと電話を切り、急いで部屋を出た。




「ここにもいねェか…」

俺はリーシャが行きそうな場所、コンビニ、公園なんかを探したが一向に見つからなかった。

「くそっ!一体どこにいやがるリーシャ…!」

俺は悔しさに拳を握り締めた。

そしてふと上を見上げると夜空にはたくさんの星が輝いていた。

「…!、まさか」

俺はその星に随分前にしたリーシャとの会話を思い出した。

(凄いでしょ、ローくん)

(あぁ、というかよくこんな所へ入れたな)

(うん。たまたま見つけたんだけどね、ここから見たら星がよく見えるんだよ)

(そうか、じゃあ今度の流星群が見える時に一緒にくるか)

(え、ほんと!?嬉しいな)


そんな会話を当日付き合ったばかりの俺達は廃墟になったビルの屋上で交わした。

だが結局その約束は果たされなかった。

あいつの家庭の事情で他の事に構っている余裕がなくなったからだった。


だから俺はあれからあそこに行っていない。

俺は記憶を頼りに廃墟のビル目指す。

「ここか…」

おそらく彼女はこの屋上にいるだろう。

ビルは廃墟なので俺は仕方なしに階段で上を目指す。

「はっ、やっと着いた」

息切れしながらも錆びれた扉を開く。

ギギギ…と古い音を立てた扉の向こうには微かにだが人影が見えた。

「…リーシャ!」

「…!!、ロー?」

その人物は思った通り、リーシャだった。

彼女は驚きに目を見開いていた。

「よく、わかったね」

何が、と聞くまでもなくリーシャは私の居場所が、という意味だろう。

「まぁな」

俺の言葉にリーシャは少し笑い、その瞳を伏せた。

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