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 01

「忘れ物はないか?」

「うん、大丈夫だよロー」

リーシャは笑いながら、また明日ね、と手を振り家に入っていく。

俺は彼女を見送るとアクセルを踏み自宅への道を走らせた。

俺の恋人であるリーシャと付き合って早3年になる。

付き合い始めたのは彼女が15歳で俺が17歳の時だった。

俺とリーシャはいわゆる先輩と後輩という関係だったが、彼女が中学を卒業すると同時に俺に付き合ってほしいと言ってきた。

俺も当日、自分だけが彼女に片思いしているのだと思っていたものだからあの時はさすがの俺も言葉に詰まった。

両思いだった俺達は当然付き合い、今でもずっとその関係は続いている。

だが、そんな俺達…いや、リーシャについてはある問題があった。

さっきはあんな風に笑ってはいたが、リーシャの家は世間でいう、家庭崩壊というものを抱えていた。

毎回のようにリーシャは俺の部屋に来ては、ぽつぽつと家について話していた。

そういえば最近家庭の事をあまり聞かなくなったような気がする。

「いい兆候か…」

俺は、世間体や周りなんかどうでもいいと、ただあいつが笑ってくれればそれでいい。

だから、どんな事よりも彼女を優先させてきた。

俺は家に着くとリーシャからの、今日もありがとう。というメールに返事をしてベッドへと沈み、睡魔に導かれるがままに眠った。










翌日、リーシャが来ると思っていた俺は不審に思い、電話をかけた。

「只今留守にしておりま…」

規則的な留守電の声に俺は首を傾げる。

「出掛けてんのか?」

俺はこの時、得に気にする必要はないと思い電話を切った。

それから夜中の2時頃、普段こんな時間に鳴らない携帯の着信音が俺の耳に入ってきた。

「一体誰だ…」

携帯の画面を見ると、そこには“ナミ”の文字。

こいつは昔からの俺とリーシャの共通の友人でありリーシャにとっては親友でもある女だ。

「どうしたん「リーシャはそこにいる!?」」

俺の言葉を遮って泥棒猫屋は焦ったように聞いてきた。

「来てねェ、…なにかあったのか」

「そう…、」

俺の言葉に一気に冷静になったのだろう泥棒猫屋は、

「リーシャと今日一日中、連絡できなかったのよ」

「どこかに行ってるんだろ」

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