▼ 03
「おい!リーシャっ!サラ!シン!どこにいる!」
船に残っていたクルーから敵襲だと電伝虫から伝えられた俺は、急いで船へ戻ると、クルー達がほとんどの奴を倒した後に船が離れて行ったと聞きくとリーシャと子供の安否を確かめるように叫ぶ。
だが反応がない。
「くそっ!」
すべての部屋を探したが誰一人見つからなかった。
***
「帰して…」
「まだそんな事を」
「っ!」
リーシャは悔しさに唇を噛み締めた。
そんなリーシャの両脇には双子の子供が。
私が気を失った時に連れてきたのだろう。
子供を守れなかった…。
リーシャは男を睨む。
「無駄無駄」
男は嘲笑う。
「マ、ママぁ!」
「大丈夫よ、シン。必ずパパが…」
「ガキは黙ってろ!」
男の声に二人は泣き出す。
「っ、この子達だけも逃がして…」
リーシャは子供を抱える手にギュッと力を入れる。
「だめだ。そのガキは人質なんだよ?」
口調は柔らかいのに目が冷たい。
リーシャがどうしようと思案を巡らせているときだった。
「せ、船長!」
「なんだ」
クルーらしき男が部屋に駆け込んできた。
「ハートの海賊団が来ました!!」
「早いな」
リーシャはその言葉に密かに安堵する。
二人の子供も同じように笑う。
その時だった――。
――ドカッ!
「ぐあっ!」
今しがた扉の前にいた下っ端の男は呻きながら床に倒れ込んだ。
「返してもらおうか」
「ロー…!」
「「パパ!!」」
どうやらローが気絶させたようだった。
「ぐっ…させるわけにはいかないなっ!」
男は剣を抜いてローに切り掛かる。
――ガキン!
刃と刃が交差する。
「何枚に卸されたい?」
ひやりとする声
だがその金属音が聞こえなくなるのは時間の問題だ。
「なっ!?」
ローが能力を発動して相手がバラバラになるのを見据えるとローは私達の元へと歩み寄る。
「パパっ!」
「怖かったよぉ!!」
「頑張ったな。えらいぞ」
涙ぐむ双子をローは優しく迎え入れる。
そしてローは私に顔を向けて、双子を抱いたまま私ごと抱きしめた。
***
「パパ!絵本読んで!」
「サラだけずるいぞ!僕も!」
いつもの光景にリーシャは口元を緩める。
「わかったから今から言うことに答えろよ?」
「「はーい!」」
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