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 01

私は別に嫌いじゃない。



「ロー、香水変えた?」

「ああ」



嘘。本当は知ってるんだから。ローはあの香水しか使わないって前に言ってたくせに。私はローが嫌いじゃない。でなければ彼女になんてならないし、一緒に寝ないと思う。最近ローは私に素っ気ないような気がする。女のカンだ。マンネリ化している日常が原因?それとも単に私に愛想が尽きた?



「……ペンギン」

「またかリーシャ」

「だって、だって……」



頼れるのはペンギンしかないんだもん。



「ペンギン、ローが香水変えてた」

「は?それだけか」

「それだけって……重大なんだからっ」



嗚呼、目頭が熱くなってきた。泣いちゃダメだ。私は海賊なんだから強くなくちゃ。



「……船長」

「?……ローがどうかし」

「おい」

「っ!」



真後ろにローがいて涙が引っ込んだ。泣いてんのかと聞いてくる恋人に私は自然と頭が冷えてくる。ローが悪い。香水なんて分かりやすいものを変えて。私と別れたいなら正直に言えばいいのに。



「ペンギン、ちょっと見て欲しいものがあるから来てくれない?」



ローから離れたくてペンギンを誘う。勿論見て欲しいものなんてあるわけないが、今は嘘でもつかなければ泣きそうになる。



「まだ俺の質問に答えてねェぞ、リーシャ」

「ロー、これは女特有のデリケートな悩みだから干渉しないで」



こう理由付けてしまえば恋人だろうと口は出せないだろう。ローが何も言わなくなった事を感じると素早くペンギンに声をかける。早く行きたい。



「リーシャ……てめェ」

「いっ、何すんの!」



ガッシリと腕をいきなり掴んできたローに批難をぶつけると彼は黙ったまま歩き出す。
手の力が弱まらないので私の抵抗する力など無駄だ。
船長室の扉を乱暴に開け私をベッドに放り投げたローは大きな音を立てて扉を閉めた。
それにビクリと反応する私を睨む彼に冷や汗が伝う。



「俺を無視してペンギンとこに行くのは何故だ」

「っ……うるさいなぁ。別にローを無視してるわけじゃない。それに、先に素っ気なくなったのはローでしょ」

「俺が?ハッ、いつ素っ気なくした」

「いつも!それに香水変えたって言ったけど前に俺はこれが気にいってるからこれしかつけない、って言ってたでしょ!」

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