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 たわいない、たわいないけど

「ローッ、早く早く」

「そんなに急がなくても売り切れになんねーよ」

「私のチョココロネは人気なのー!」

「チョココロネが?メロンパンの間違いだろ」



くすくす笑うローを追い抜いてパンが並ぶ陳列棚へ向かう。
食パンから菓子パンまで豊富にある中で真っ先にチョココロネの袋へ手を伸ばす。
今日は週に一度、二人でスーパーに行く日。
パンが安いとチラシに書いてあったのでこれは行かなくてはと気合いを入れて買い物カゴにパンを入れていく。



「よし、チョココロネゲット!」

「蒸しパンも入れろ」

「好きだったっけ?」

「たまには違うもんも食べたいんでな」



リクエスト通り蒸しパンを入れると他の種類も幾つかカゴに入れた。
お会計を済ませると袋に詰めていく。
その作業をする時、本当に時々だが、



「幸せ?」

「何がだ」

「独り言」

「にしてはでけェな」



くつりと笑うローにリーシャも釣られて笑う。



「こういう風にさ、二人で買い物して……袋に詰めていく作業ってのが幸せだなぁ……って思ったの」

「お前の幸せはそこら辺にあるんだな」

「まーね」



犬の散歩を見ている時、二人で何気ない会話をしている時。
些細な事だけど、幸せな気持ちになる。
もしも、隣に誰も居なくなったらと想像するにも出来ない自分に苦笑もするが。
ローにも共感してもらいたいと思いながら例えばを挙げる。
一つ一つ指折りで数えていけば隣で肩を揺らして笑う男に気がつく。
笑わないでよ、と頬を膨らませた。
悪ィ悪ィと謝る割にはあまり反省していないようだが、まぁ大目に見るとしよう。
ローの手が揺れる様子に自分の手が自然とそこへ向かう。
手に触れた感触を感じたのだろう彼はちらりとこちらを見てキュッと握り返してくれる。
嬉しくて、緩む頬を隠す方法を模索した。







たわいないが、幸せです

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