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 探求者、再生

短編作品
『目撃者、撃沈』と『狙撃者、追憶』の続編です





***






告白され、晴れて恋人同士になった二人。
不安な日々から解放された彼は、色んな意味でとても凄い。


「リーシャ」

「リーシャ。トラファルガーがまた、呼んでるわよ」


ナミがニヤニヤしながら言ってきた。
リーシャは恥ずかしさに顔を赤くする。


「今行くっ」

「いってらっしゃい」

彼女の楽しげな声に見送られて、ローのいる廊下へと向かう。
扉を通るとすかさずローがリーシャの前に立ち塞がる。


「昼ご飯、食べに行くのか?俺も行っていいか?」

「うん。ローくんはお弁当じゃなかったっけ?」


返事にドキドキとしながら尋ねる。いくら恋人同士とはいえ、まだ付き合い始めて数週間。
慣れるわけがない。
こんなに熱烈なアプローチは初めてで、いつも心臓がバクバクだ。


「あァ。そうだけど、リーシャが食堂に行くって言ったからやめた」

「そ、そっか……」

(私の為って……!)


きゃああ、と内心悶える。
顔も性格も完璧な彼。
いつもいつも、リーシャをとろけさせる。
時々、溶けてなくなってしまってしまいたくなるような仕草や行動があって、顔が赤くならないことなどない。


「行くんだろ?奢ってやるよ」


そう言ってリーシャの手を握るロー。
その体温に身体が強張る。


「だから……放課後はもちろん、デートしてくれるよな?」

「っ……う、うん……」


確信犯な彼は、本当に意地悪だ。
恩を売らずとも、リーシャはいつでも首を縦に振るというのに。


「なァ、リーシャ」

「な、何?」


余熱がまだ冷めない顔を上げてローを見る。
慈愛に満ちた表情と目が合う。


「俺は、俺を見つけられたような気がする」


ずっと、悲しくて淋しい心を埋めることも出来なかった青年。
がむしゃらに何かを求めた。
その結果は、ただ空っぽの空気を掴んだような気持ちしか残らなかったのだと言う。
しかし、ある一人の少女に出会ったことにより、その心は温かいもので満たされたとか。


「行こう、ローくん」




一匹狼、平穏を知る

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