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 マリッジブルーの心情

「はぁ〜」



今日は一体何度ため息をついただろうか。
このままでは酸素がなくなってしまうかもしれない。
なんて程にリーシャは繰り返していた。



「リーシャ」

「あ、ロー……」

「また考え事か?」

「う、ん」



ギュッと後ろから抱きしめてくるローに身体を預ける。
トクリトクリと鼓動が聞こえた。
今のリーシャの精神状態は所謂、マリッジブルー。
結婚を控えた花嫁は不安に胸を苦しませている。



「ローはさ」

「ん?」

「不安じゃないの?」



内なる思いを花婿たるローに聞く。
ローは完璧過ぎる人間で。
リーシャには眩しく、とても釣り合っているようには思えない。
マリッジブルーの心境は更にリーシャのネガティブさを増幅させていた。



「今更なに言ってんだ。結婚できませんって言いてーのか?」

「ち、がう」



わかっている。
今、ローがどんな表情をしているのか。
きっと笑っている。
彼はリーシャのことがお見通しだろうから。



「お前と結婚できて、何が不安だ?んなこと、思うわけねェ」

「っ……」

「お前は何も考えずに、俺のことだけ考えりゃァいい。わかったか?」

「うん……ローって凄いよ……」

「当たり前ェだ」



だって、ずっと不安に押し潰されそうだったリーシャが今は清々しい気持ちになっているのだ。
彼と結婚できる。
そう思うと、もうリーシャは怖くなどなかった。



「ロー、大好きだよ」

「くくっ。俺は愛してる」



多分、彼には一生敵いそうにない。
リーシャは最強の花婿の頬に目一杯感謝の幸福に満ちた気持ちのまま唇を送った。
その後、新婚夫婦を知るキャスケット帽子を被る友人は語る。
「幸福を撒き散らす程の夫婦だな、あれは」と――。





そして、溢れる程の幸せを噛み締めさせられるのです

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