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 どうしてこうも伝わらない

「おいリーシャやめろって!」

「大丈夫大丈夫!」

今私はお酒に飲まれている。
それをシャチが止めようとしているけど別にいいでしょ!
なんたって今日は昼に敵襲にあった私達は見事勝利して宝を頂戴したんだから。
まぁ私は多少なりとも怪我をしてしまったけれど別にたいしたことじゃ――。

「リーシャ」

「……せ、船長」

テノールの声にびくりとなりながら後ろを向くと、無表情で立っている我らが船長トラファルガー・ロー。

「安静にしていろと言った筈だが?」

「あはは……」

笑いでごまかせば船長は無表情のまま私の手を強引に引っ張った。

「痛い!船長っ」

もちろんが機嫌の良いとは言えない船長を止める人間なんて(熊も含む)いない。
私の声を無視して船長はスタスタと歩く。
そのまま引きずられれば着いたのは医務室。

「痛っ」

ポイッと手を離され部屋へ入れられる。

「おとなしくしてろ」

「どうしてですか!私も−−」

「煩ェ!」

「……!?」

宴に参加したいと批判を言おうとしたら、今まで一度も聞いた事がない程の怒鳴り声に私は身がすくんだ。

「どうして俺の言うことを聞かねェんだ……!」

でも体が固まったと同時に感じた全体に感じる温もり。
吐息を近くに感じた。




「船……長、ご、ごめんな……さっ……」

抱きしめられていると理解したら、船長は私を心配してくれたのだとこの時ようやくわかった。
震える声に船長は「黙れ」と一言言うと更に抱きしめる力を強くした。







どうして貴方が震えているのを私は気づけなかったのだろう




(船長……)

(もう少しこのままでいさせろ)

(あいあい、船長)







Title/Aコース

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