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「せっかくたくさん作ったんだし、ね?」

「そうだね。早いし、親御さんに心配をかけることもない」



アリシアとテッドを説得するリーシャにジェイドも頷く横でローはさっさと帰れ、と呟いているが。



「あ、えと……はい」

「お邪魔しますわ」



喧嘩の時とは打って変わり弱々しく頷いたテッドと躊躇することなく返事をしたアリシア。
二人はギラッと睨み合うとリーシャに案内されテーブルに着いた。



「じゃあ食べようか」



ジェイドがそう言うと食卓に集まる四人はお節料理を食べ始めた。



「これ、なんだ?」

「それを御存じない?それはカマボコですわ」

「ふぅーん」

「魚を練った、茹でたものなんだよ」

「そ、そうか。う、うめぇな!」



アリシアの言葉にはあまり興味を持たなかったテッドは、リーシャがカマボコについて説明すると焦ったようにそれを口に放り込んだ。



「……リーシャ、これはなんだ?」

「あ、それはね――」

「ゴヤシですわっ」

「お前には聞いてない」



リーシャに聞いたローはアリシアをギロリと見る。
その目は「邪魔するな」と光っていた。



「まぁまぁ……ゴヤシは甘く煮詰めたけど、ローくん食べられる?」

「問題、ない」



一瞬、ローの表情が歪んみ、それを見逃さないのはテッドだった。



「別に無理して食べなくてもいいんだぞ?代わりに俺が食ってやるよ」



意地悪くローに見るテッドにローは無表情になるとゴーヤっぽいゴヤシを口に入れた途端、リーシャはあっ、と思わず声を出す。
ゴヤシはこの世界特有の野菜で、リーシャの世界ではゴーヤに近かった。



「……っ」

「大丈夫、ローくん?」



ローは苦いものは苦手ではないが、好きでもないのでゴーヤっぽい野菜の苦過ぎる味覚に眉を寄せるのは無理もない。
しかし、テッドに挑戦的な目を向けられた手前、飲み込まないという選択肢はなくローもまた、プライドが高く負けず嫌いである故の災難。



「……苦い」

「はい、お茶」



リーシャにお茶を差し出され、受け取る。
その際、チラリと視線をテッドに向ければ悔しげに燃える目と視線がぶつかり、ニヤリと口元を上げたロー。
お茶を渡され、気遣われたことに嫉妬するテッドはギリギリと歯を見せた。



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