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リーシャが十三歳になって一年が終わろうとしていた。
所謂、大晦日、正月である。
この世界では一年中雪が降る島である為、そういった季節行事はない。



「リーシャ、これは何だ?」

「これはね、お節料理っていうんだよ」

「オセチ?」



豪華にテーブルに並ぶ重箱。
それも物珍しそうに見るロー。



「ジェイドさん、夕方には帰ってくるって言ってたから皆で食べようね」



ローに説明すれば、こくんと目をお節料理に向ける少年はコクンと頷く。
リーシャはニコニコと上機嫌で再びキッチンへ戻ろうとすると、コツコツと来訪を知らせる音がした。



「俺が出る」

「ありがとう」



ローはタタッと玄関へ向かった。
来客はローに任せ、リーシャはエプロンを付ける。




「ロー様ぁ!」

「来るな虫」



ワーワーと騒ぐ二人の声にアリシアが来たのだとわかった。
程なくして、ローの体に抱き着くアリシアが部屋に入ってきた。



「くっつくな虫」

「今日も冷たくて素敵ですわ!」

「うざい」

「こんにちは、アリシアちゃん」

「あら、貴女いましたの?」



つんとそっぽを向いてリーシャを敵視するアリシア。
そんなアリシアにローもここぞとばかりに引きはがす。



「お前帰れ。二度とくんな」

「ロー様っ!」



ローの言葉にアリシアは縋り付くようにまたローに抱き着く。
しかし、ローはひょいっと避けた。



「リーシャを侮辱するやつなんて俺は嫌いなんだよ」

「ロー様……」



ローの怒りが伺える表情にアリシアが動きを止める。
そんな空気の中、再び来訪を知らせる音が聞こえた。



「今度は誰かな?」



アリシアはローに任せ、リーシャは玄関へ向かい扉を開ける。



「あ、よ、よぅっ!」



そこにはガキ大将こと、テッドの姿が。
リーシャは珍しい来客に笑いかける。



「どうしたの、テッドくん。珍しいね」



少し前にリーシャが取り巻きによってテッドの家に連れて行かれ、話して以来、こうしてたまに小さなガキ大将が来るようになった。
ローが毛嫌いする一人である為、すぐに追い返してしまうことが多いが。
今日も珍しく、二人も来客が来たとリーシャは嬉しくなる。



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