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「ちっ、言わせておけば!」
尚も突っ掛かってくるテッドにローは知らん顔。
テッドはグッと拳を握るとずんずんとこちらに大股で歩いてきた。
「え……きゃっ」
と思っていればリーシャの腕を掴み引き寄せられる。
「死に急ぎたいならそう言え」
ローがそう言うと拳を作り、今にも飛びかかりそうになる。
「え、っと?」
テッドの意図がわからず疑問符を作るリーシャ。
テッドはこちらをジッとみて笑う。
「お前、俺と付き合え」
「え?」
まさか年下に告白をされるとは思わなかったリーシャは目をぱちくりとさせる。
「断る。冗談はその顔だけにしろ」
しかし、返事をしたのはリーシャでなくローだった。
ローもリーシャの掴まれていない方の腕を掴み、テッドからリーシャを引きはがす。
「おいおい、やけに必死だな?」
「黙れ、消すぞ」
ローのギラギラと殺気を感じる目。
リーシャはヤバイと感じたが、テッドに答える。
「テッドくん」
「あ?」
テッドはリーシャに呼ばれ、なんだ、とこちらを向く。
「そういう言葉は好きな子に言う為に大切に取っておくものだよ」
「は?」
「だから、簡単に付き合え、とか絶対言っちゃ駄目だからね」
テッドはリーシャの説教に面食らったように唖然としていた。
ハッと我に返ったテッドはリーシャをまじまじと見る。
その様子にリーシャはふふっ、と笑った。
「か、変わった女だな、お前っ!」
リーシャの笑顔に顔を真っ赤にさせるテッド。
叫ぶように言った言葉にローはムッとなる。
「消えろ。二度と面見せるな」
「言われなくても!」
テッドは真っ赤になったまま、ちらりとリーシャを見る。
「っ……!」
我慢できなくなったのか、走り去るテッド。
そんなガキ大将に慌てて付いていく取り巻き達。
四人が走り去る姿をジッと二人は見ていた。
リーシャはハテナマークを飛ばしながら。
ローは内心悪態を散々つきながら。
「どうしたんだろうね?」
「変なキノコでも食ったんだろ」
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