×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
 
56


「本当に遅ェ……」



本心を漏らす隣人にリーシャは「しっ」と指を口に当てる。
そんなリーシャにローは顔をしかめた。
納得がいかないようだ。




「これから沢山美味しい料理が出てきますわ。どうぞ今日は楽しんでくださいですわ」



アリシアがペコリと優雅にお辞儀すると、皆はプレゼントを抱えた。



「アリシアちゃん、これ!」

「あげるっ!」

「まぁ、ありがとうございます」



嬉しそうにプレゼントを受け取るアリシアを見てリーシャはローにも催促する。



「俺は渡さない。リーシャが……やっぱりいい」



ローが途中で考えた素振りを見せると、一人の女の子の方へ向かった。
その女の子は、幼なじみを見ると頬を真っ赤に染める。



「これ、あいつに渡せ」

「え、は、はい……!」



用意したプレゼントを女の子に渡すローにリーシャはため息を着いた。
余程渡したくないのか。
ローはリーシャの元に戻ると「どうだ」と言わんばかりの表情で笑っていた。



「渡してきたぞ」

「そうだね」



少女の家に来た時点でかなり妥協したローにこれ以上は無理だと思った。
だから、後は見守るしかない。



「ロー様〜!」



しかし、相手はアリシア。
これで関わらないと思うのが間違いなのだ。
ハートを散らして駆け寄るアリシアにローは後ずさる。



「プレゼント、受け取りましたわ!」

「リーシャが買ったんだ」

「わたくし家宝にしますっ!」



話しを聞かないアリシアにローは鬱陶しそうに表情を歪ませる。



「リーシャにも礼を言え」

「……え」

「この方にも?」



彼女はリーシャを見る。
アリシアの視線が合わされば、アリシアはグッと眉を寄せた。



「言わねェならそれ返せ」




アリシアが持つ、ローとリーシャが送ったプレゼントを指す。
少女は隠すようにそれをギュッと握る。



「リーシャさん……、ありがとう、ございます、わ……」

「どういたしまして、誕生日おめでとう。アリシアちゃん」



リーシャはニコッと笑うと、アリシアの目が見開き、驚くのが見えた。



prev next
[ back ] bkm