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こちらを見て声を上げたのは、勉強会でも同じみのメンバー。
純粋に彼を好いている子達だ。
恋愛ではなく、友達。
ローは凄くモテるので、こういった類の好感は珍しい、とロー自身が言っていた。
そんな子達がリーシャ達に駆け寄り、質問してくる。
「リーシャちゃん達もアリシアちゃんの誕生日パーティーに来たの?」
「そうだよ」
「プレゼント持ってきた?」
「一応」
ローはプレゼントを軽く上げて見せた。
すると三人はわぁ!と盛り上がる。
「楽しみ!」
「ケーキとか出るかな!?」
「ふふ……」
興奮する女の子達にリーシャはつい笑ってしまう。
アリシアもアリシアでそれなりの友達との交流があったことにも少し驚いた。
貴族とかそういう人間は常に自分主義だとローが言っていたが、やはりアリシアの家は珍しいようで普通の民間人とも関わりを築いていたようだ。
「皆様」
突然男性の声が聞こえ、リーシャ達は全員部屋の中央へと視線を向ける。
そこにいたのは、厳かな雰囲気を纏う執事の格好をした白髪の老人。
「誰だ?」
「この屋敷の執事、ロバートでございます」
深く丁寧にお辞儀をするロバートと名乗る老人。
風格のある執事服を着こなしている。
ロバートは部屋に集まった招待客に一礼するとパン、と手を叩いた。
すると、違う扉からメイドの服装をした使用人達がぞろぞろと現れる。
手にはお菓子やジュースが。
そんな魅力的な物に皆の視線は釘付けだ。
それはもう、キラキラと。
ローはムスッとした表情で皆を見ていた。
「甘いモンで釣るなんて卑怯だな」
「卑怯って……」
ボソリと聞こえた呟きにリーシャは引き攣り笑いをする。
ローだって子供なのに、と。
自分は、精神年齢ではどのメンバーよりも上だが、お菓子には目を輝かせる方だ。
と言っても、きゃっきゃと騒ぐ程ではないが。
お菓子に集まり喜ぶ子達を尻目に、リーシャはキョロキョロと周りを見た。
(アリシアちゃん、どこだろ?)
先程から主役であるアリシアが見当たらない。
そんなことを思っていると、中央の扉が開かれた。
「お待たせしました」
ゆったりとドレスを着飾ったアリシアが真ん中まで歩いてくる。
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