×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -
 
54


さすがのリーシャも苦笑いしかできない。
そんな時、ローの低い声が響いた。



「お前の誕生日なんかに俺は絶対行きたくなんかなかったんだよ。リーシャも行くから来たんだ。調子に乗るな」

「ローくん……」

「っ……!」



庇うように睨むローにアリシアはビクッと傷付いた表情をする。
そんなアリシアに彼は構うつもりはないらしく、今しがた通った玄関にリーシャの手を掴み戻ろうとした。



「ま、待ってロー様!」



アリシアは後を追うように声を上げた。
リーシャはアリシアを見るがローは相手にしない。



(このままじゃ、駄目だよね……)



修羅場にするには酷な特別な日。
リーシャはローの手を少し引っ張り、「待って」と声を掛ける。
すると、幼なじみは怪訝な表情でリーシャを見た。
だいたいの、今の彼の気持ちはわかる。
要するに構うな、だ。
その表情を見てもリーシャはローの服をクイッと引っ張る。
ここで諦めるわけにはいかない。
せっかく来たのに、帰ることなんてできないのだ。




「私なら大丈夫。だから、ローくん……お願い」



ジッとローを見詰め、彼もリーシャを見る。
そして、先に折れたのは――ローだった。



「少しだけだからな……」


「うん」

「……はァ」



ため息と共にローは向きをアリシアの方に向ける。
アリシアは不安な表情で少年を見ていた。



「ローさ、ま……あの」



バツが悪いような顔でオロオロとするアリシア。
先程の彼の態度に後ろめたさを感じているのだろう。
アリシアを見たローはリーシャに向けた表情を見せた。



「次はないと思え」

「は……はいっ!」



ローの言葉の意味を悟ったアリシアは表情をパァッ、と明るくさせた。
二人の空気が和らいだことに、とりあえずは一安心したリーシャだった。











アリシアに案内され向かったのは、シャンデリアが煌めく部屋。
既に数人程先客がいた。
年齢はリーシャ達と差ほど変わらないような子供達。
中にはちらほらと見覚えのある顔もあった。



「ローくんだぁ!」

「あ、本当!」

「リーシャちゃんもいるよ!」



prev next
[ back ] bkm