53
「なんでこんな所に……」
「まぁまぁ……」
ブツブツと呟くローにリーシャは宥めながら苦笑する。
「ロー様に喜んでもらいますわ!」
アリシアがやってきたからだ。
開口一番の言葉は、リーシャでさえ戸惑った。
彼も無言で扉を閉める程だった。
内容は、アリシアの友達を家に招待して自分の誕生日パーティーを開くというものである。
もちろんローは拒否。
リーシャは成り行きに任せた。
「なんでアイツにプレゼントなんか」
「まぁまぁ」
リーシャはひたすら宥めるしかなかった。
結局、アリシアの暴走は止めることなんてできなかったわけで、行くこととなった。
押しが強いせいで、ローはずっと不機嫌だ。
リーシャ達はプレゼントを持ってアリシアの家に向かっていた。
貴族と言っても、評判が悪いわけでもなく、良い方の家らしい。
珍しい、と彼は興味なさげにいつの日か言っていた記憶がある。
ローとリーシャはアリシアの家である豪邸を見上げた。
「わぁー……」
「相変わらず家は立派だな」
感動するリーシャとは違いローは冷めた口調で扉に進む。
リーシャはそれに続くと彼は上を向いた。
なんだろうと思い、リーシャも上を向くとこの世界では電話や映像を映す役割をこなす‘電伝虫’。
二人がしばらく上を見て入れば、大きな扉がギィ、と音を立てて開いた。
「開いた……?」
「あの電伝虫はカメラだ。俺達の姿が向こうに見える」
「うそ……便利……」
電伝虫にもそんなものがあるのだと知り、リーシャは驚く。
ワンピースの世界は自分が思っている程世界観は古くないのかもしれない。
豪邸に入ると豪華なドレスに身を包んだアリシアが出迎えた。
「ロー様っ!よく来て下さいましたわ!!」
「煩い。仕方なくだ」
「ローくん……」
実は、ローがアリシアの家に来たのはリーシャが説得したからである。
不本意な表情のローに対し、アリシアは周りに花を咲かせるかの如く喜んでいた。
リーシャがおめでとう、と誕生日の祝いの言葉を送るとアリシアはあからさまな顔をする。
「なぜ貴女がいるの?わたくしはロー様を呼んだのにっ」
「………」
[ back ] bkm