05
「じゃあ二人で大人しくしているんだよ?」
「はい」
「わかってる」
「ふふ……それじゃあ行ってくるよ」
ジェイドはそう言うと玄関の扉を閉めた。
「やっと行ったか……」
「あはは……そうだね」
今日、ジェイドは病気の患者を診る為に家に帰ってこないということで、1日中ずっとローとリーシャだけになってしまうので、心配してなかなか家から出なかった。
「いつもこんな感じなの?」
「まァな」
ローはため息混じりに呟く。
「そっか」
ローの様子に少し笑ってしまった。
その時、リーシャのお腹の虫が鳴る。
「そういやメシまだだったな」
「うん。あ!私何か作ろうか?」
「作れんのか?」
「あははっ!十歳を侮ってはいけないよ?ローくん」
「俺と一つしか違わねェだろ」
ローは呆れたように言う。
「……とりあえず作ってみるから」
何も言い返せなかったリーシャはごまかすようにキッチンへ向かった。
「……俺も行く」
「え?ローくんは座っててくれたらいいのに」
「リーシャに何かあったら困るからな」
「お、カッコイイこと言ってくれるね?色男くん?」
リーシャが茶化すとローは無表情で、
「調子に乗るなペチャンコリーシャ」
と言いのけた。
「なっ……!ぺ、ペチャンコ……」
清々しい程の毒舌にリーシャは軽くショックを受けた。
「わ、私だって大きくなればそれなりになるよ!」
やっぱりローはまだ九歳の子供だと感じた。
「ほォ?」
リーシャが言い終わると、ローはニヤニヤしながら私に近づいてくる。
「な、なに?」
「それなりにねぇ……?それよりもっと良い方法がある」
「え……」
嫌な予感しかしない。
「俺が毎日揉んだら大きくなるぞ?」
「っ、九歳の子供が何言ってんのっ……!」
(この子は本当に九歳なの?私みたいに中身が十九歳なんじゃないの?)
段々とローの性格がわかってきたリーシャは、自分の身に危険が迫らないかと心配になった。
「バカか、本気にすんな」
ローは確信犯の如くニヤリと笑った。
「……!―もう!ご飯作るから邪魔はしないでね!」
リーシャはからかわれたと知り顔が赤くなる。
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