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「……ない」

「え……ない?」



困ったことにローの返事でリーシャは悩む。
これは自分でプレゼントを決めることになる。
そう感じたリーシャはローにある提案をした。



「本屋とか、今日行ってみない?」



その場で気に入った本があればそれを買うのだ。
そう思いリーシャはローをジッと見る。
するとローはしばらく何かを考える仕草をすると、軽く頷いた。
やった、とリーシャは嬉しくなり早速上着を羽織る。
ローもいそいそと防寒着を着ると、二人は玄関へ向かった。






町へ繰り出すと、ロー達は本屋へ入った。
リーシャもローが気に入った本を見つけるまで違うコーナーへ行く。



「何かないかな……」



キョロキョロと周りを見回す。
すると、ある一点に目を奪われた。



「悪魔の実、図鑑?」



何度も耳にし、本にも出てきた悪魔の実。
ルフィ。
その名が頭に浮かぶ。
リーシャはゆっくりと表紙を開いた。
悪魔の実を実際には見たことはない。
けれど、この世界には確かに存在するのだ。
ルフィを始め、チョッパー、ロビン、エース、スモーカー、クロコダイル。
上げていけばキリがない。
世界にはごまんと悪魔の実を欲しがる人間達がいるとも書いてあった。
それを手にすれば、超人的な力を得られるとも。
パラパラとページをめくっていけば見覚えのある絵がたくさん書いてあった。



(これが、悪魔の実)



恐ろしくもある。
けれど好奇心もしかり。



「リーシャ?」

「あ、ロ、ローくん!」



後ろから呼ばれ、リーシャはバッと本を閉じる。
後ろを向くと怪訝そうにリーシャを見るローが立っていた。



「本、何かあった?」

「……あった」

「どれ?」



できるだけ平常心を装い、ローの本を受け取る。



「……雑学の本ね、わかった」

「何見てたんだ?」



ローの質問にリーシャはうっ、と詰まる。
しかし、隠す必要もないと思い説明した。



「悪魔の実、か」

「興味ある?」

「まァ、あるにはある」

「やっぱり珍しいから?」

「そんな感じだ」



一通り会話をするとリーシャは本をレジに持っていった。



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