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「あ、ちょっと待って」

「なんだ?」



いつものようにローと町に出掛け、買い物をしているとリーシャの目に小さな指輪が光った。



「……可愛い」

「欲しいのか?」

「え?!……ち、違うよ。欲しくないから」

「そう言いながらさっきからコレちらちら見てるだろ」

「うっ……」



ローの言葉に図星だと言わんばかりにリーシャは言葉を詰まらせる。
確かに可愛いし、かなり魅力的なデザインの指輪で。
リーシャの好きな、ど真ん中ストレートなものだ。
しかし、そんなことは言えない。
ローにも、年下に買ってもらおうなどと図々しい感情などないが、リーシャは自分で買おうか悩みどころだった。



「もう……行こうよ」



結局、指輪は諦めることにしたリーシャはローを家に向かわせる為に背中を押した。



「………」



ローは指輪のお店からしばらく目を話さなかった。








***







「リーシャ、リーシャ」

「ん?どうしたのベポ?」



ベポがつんつん、とリーシャのエプロンを摘んで引っ張ってきた。
何かと思い後ろを向けば、ベポが不思議そうに首を傾げこちらを見ていた。



「キャプテンって偉いの?」

「キャプテン?」



普段聞かない単語にこちらも首を傾げてオウム返しする。



「ローが、キャプテンって呼べって、言ってた」

「ローくんが……?」



確かにいずれ、海に出て船の船長になろうと思っている彼は、ベポにとってはキャプテンにいつかなるかもしれないが。
リーシャは、もう呼ばせているのかと思いながら、ベポの先程の質問に答える。



「そうだね……キャプテンは偉くて、強いんだよ」



やはりそれで連想されるのは、麦藁帽子がトレードマークのルフィだった。



(ルフィは、もう十歳くらいかな……)



北の海と東の海は、とても遠すぎるため、確かめる術はない。
だからといって、知れる機会があっても、どうこうするつもりはないが。



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