×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -
 
幼い恋心


「あれ?トラファルガーくんは?」

「あっちに行ったよー」


同じ歳の子達に尋ねれば、毎回毎回繰り返される言葉。

彼はいつもある場所に向かって行くのだ。


「……トラファルガーくんまたここにいたの」

「別に俺が何処へ行こうがお前には関係ない」

俺なんて言葉を使うのはトラファルガーくんぐらいだ。

皆と違う男の子。

私よりは年上だけどね。


「海なんて毎日見てて楽しーの?」

「お前にはわからない」

一々冷たくて酷い言葉を言うトラファルガーくんに私は泣きそうになる。

「泣くなら向こうで泣け」


「なんで冷たいの……」


トラファルガーくんは皆みたいに優しくなんてない。

笑う時なんて滅多にないし、笑った時はなんだか少し怖い。


「俺はいつか大きな夢を叶えるからだ」

「ゆめ……?」


海を見詰めたままのトラファルガーくんはなんだかかっこよかった。


そんなトラファルガーくんをドキドキと今まで一度も感じた事のない気持ちで見る。

どうしたのかな私の心臓?


疑問と少しの心地の悪さに身体がむずむずした。


私はただ同じ歳で、たまたま近くの家に住んでいる。

そんな私の近くに住んでいるトラファルガーくんを好きだという友達が沢山いた。

もしかしてこのむずむずとした気持ちが好きっていう気持ちなのかな?


私がそう感じていると反対側からトラファルガーくんの名前を呼ぶ声が聞こえた。


「あの子ってお姉ちゃん?」

「……違う」

「じゃあ……」

「もう行く」

「あっ」


質問を重ねればトラファルガーくんはこれ以上は話してくれなかった。


トラファルガーくんの名前を読んで。

トラファルガーくんのあんなに優しい顔をさせられる子は一体誰なんだろう?





いつか私もトラファルガーくんのあんな顔をさせてみたいとお星様に願いました。



prev next
[ back ] bkm