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「ベポ」
「なぁに?」
「私の真似?ふふ、上手だね」
「アイアイ!」
ベポを最初に拾って来た時は腕の中に収まるぐらいの大きさだったのに今では逆に抱きしめられる程成長した。
やはり動物は育つのが早いようで、ローがあれからずっと教えているカンフーもかなり上達した。
ベポに教えられるくらいローも強いのか、と疑問に思いリーシャは暖炉の前で相変わらず本を読んでいるローに尋ねる。
「ローくんも強いの?」
「いきなりだな」
「だってベポより強くないと教えられないでしょ?」
本から目を離したローにそう聞くと「将来俺の船に乗せるからな」と呟いた。
「え……ベポも連れていくの?」
「そのつもりだ」
「そっか……それより私にも護身術教えてよローくん」
ベポを連れていくなんて初耳で、リーシャは動揺しながらもなんとか出かかった言葉を飲み込むとごく自然の会話をする。
すると答えは曖昧だった。
「なんで?」
「逆にこっちが聞きたい」
「だって世の中物騒だし……必要でしょ?」
「まぁ……でも……」
ローの言いたい事がわからず首を傾げるしかない。
先程の言葉でいつかの未来にローとベポがいなくなるとなればジェイドとこの家を守るのはリーシャしかいないのに。
自分がローの船に乗ることはあまり考えていなかった………というより考えては駄目だと思っている。
それはリーシャが女だからとか弱いからだとか、多少はあるけど一番の理由は――。
「じゃあ、教えてくれる気になったらお願いできる?」
「……わかった」
ローが頷くのを見るとリーシャは少し眠気を感じお昼寝をするために二階へ上がった。
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