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「次は上級年齢の勉強会だから帰るぞ」
「上級年齢?」
帰る、発言に周りの子供達が「もう帰るのー?」と残念そうに言う中、リーシャは質問攻めから、やっと解放させてもらえると少なからず嬉しくなった。
「十五歳から十八歳の勉強会」
「なるほどね」
つまり高校みたいなものかと想像する。
でも、ローが上級年齢と言った時に嫌そうな表情をしたのを見てしまい、つい気になった。
「何か嫌そうだね?」
「あいつら、俺を抱きしめたり頭撫でたり不愉快だ」
「あー……そういうことかぁ……」
苦笑いして事の末を想像すると、ローの嫌そうな表情の原因はわかった。
そうしている間に上級年齢の人達がやってきたようで。
「やだ、ローくん来てたの?」
「相変わらずかわいいわねー」
とこちらへやってきた。
「あっち行け鬱陶しい」
アリシアに向かって言う、あの言葉を同じように使うローに、実年齢十九歳のリーシャからみればまだ子供の年上は怯むことはなく更に可愛がり始める。
「ローくん。私、上級年齢の勉強会見て見たい」
「まじかよ……」
この世の終わりのような絶望的な顔をされ、リーシャは「やっぱりいい」と断る。
「別に構わない」
「嫌でしょ?」
「リーシャがしたいなら、我慢する」
「う、ん……」
今、リーシャはとてもキュンとした。
凄く嬉しい言葉にリーシャは内心悶えながらも、ローザに上級年齢の勉強会見学をしたいと頼めば、心良く許可をしてくれた。
とても優しい先生だなぁ、と感心しつつ上級年齢の人達の邪魔にならないようにリーシャとローは後ろへ座る。
「あら、ローくん勉強会見学するの?」
「お姉さん嬉しー!」
きゃっきゃっと騒ぐ上級年齢の人達をムスッと、しかめっつらに見るローに「先に帰ってもいいんだよ?」と聞けば「嫌だ」と返ってきた為、リーシャはまた前を向く。
「ではログポースについてですが、なぜ島から島へと場所を示すことができるのかわかりますか?」
これは、ワンピースが好きなリーシャにとってはわかることだった。
でも内容が内容なだけに、本当にこの世界は自分の世界とは似ても似つかない程複雑で、摩訶不思議な場所なのだと改めて実感させられた。
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