「なんなんだ一体……」
「まぁまぁ、たまにはいいでしょ?」
「………」
黙ってしまったローにどうしようかと内心悩み話し掛けてみる。
「もしかしてこの前何が欲しいって言ったのがローくんの悩み事?」
「………別に」
そっぽを向いて呟いた言葉にビンゴと感じこっそり笑う。
わかりやすい反応にリーシャはここぞのばかりに質問する。
「前にオルゴール貰ったのになんで欲しいものを聞いたの?」
「………なんとなく」
「なんとなく?」
「そうだ……」
でも彼の心理はわからずじまい。
「……あ、あそこにケーキ屋があるから食べない?」
ツンとしているローにそう言えば彼は目を輝かせて幾分機嫌よさ気に頷いたので手を引いて入る。
「じゃあ持って帰ろうね」
「わかった」
ショーケースに顔を向け注文すれば箱に入ったケーキが渡された。
「ローくんが持つ?」
「持つ」
間入れず答えたローにふふ、と笑いながら渡せばこけないように、転ばないように慎重に歩く姿に微笑みながらケーキを持たない小さな手をギュッと優しく握り、帰宅の道を歩いた。
小さな手が握り返す感覚に幸せを感じた。
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