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この世界は、東の海、西の海、北の海、南の海、グランドラインという五つの海に別れて存在している。


リーシャがロー達と住んでいるのは北の海であるノースブルー。



「この間イーストブルーに天竜人が来たんだって」

「まぁそれは大変なことねぇ」



買い物の帰りに私の耳に入った主婦の会話。



(イースト、ブルー……)



ルフィの旅立ちの場所。


久々に聞いた東の海の名前を心の中で呟いた。








***








今日は朝からずっと本を読んでいたらいつの間にか昼になっていた。


もうそろそろお昼の時間だとキッチンへ向かえばリーシャはいなくて、代わりに『買い物に行ってきます』と書かれた紙が置いてあった。



「俺とお前だけだな」

「アイ!」



ベポに顔を向けてみればそこにはかじかじと最近お気に入りでる木でできた魚をかじっていた。


リーシャが言うには歯を丈夫にするのだとか。



「お前には言えるのにな」




ふいに出た言葉。


リーシャがたまに見せる表情。


まるで意識だけ違う場所に行っているかのような。


近くて遠いと言った方がいいのか。



「シャンクス……か――」



その名前に反応したことや、



(モンキー・D・ルフィ……)



前にリーシャがローを寝かしつけたと思った時に耳に届いた名前。



「一体、誰なんだよ……」



一度深く考えるとキリがないほどに疑問が浮かぶ。


考えまいと思っても気になるのだ。


この前もリーシャの記憶が戻ってほしくないなど、思ってはいけないことを後悔したのに。


だが、記憶喪失であるリーシャの中に残っていたのだから重要な人間に間違いないだろう。



「ただいまー」

「………!」



ローの考えはリーシャの帰宅した声と共に胸にしまい込んだ。



「今日はお肉安かったから晩御飯は期待してね」

「肉多めな」

「ふふ……了解しました」




リーシャの柔らかな笑みを見ながらローは口元が緩むのを感じた。














(醜い感情に蓋をした)



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