まだ納得仕切れていない様子のリーシャにローはオルゴールを渡した。
「え?」
「やる。これはプレゼントだ……誕生日のな」
少し恥ずかしく感じたが、リーシャがオルゴールを受け取りありがとう、と笑うからローはたまにはこんな風にプレゼントを渡すのも悪くないと思った。
「大事にするね」
「……あァ」
「ふふっ……」
照れ隠しに下を向くとリーシャが微笑むのを感じた。
(あの時……)
リーシャがこの間、赤髪のシャンクスという言葉に反応したのをローは知っていた。
(失くなった記憶に関係あんのか……?)
本人に聞いてしまえばいいのだが、もしローが聞いた事がきっかけで記憶が戻ってしまったら――。
ローはそこで我に帰る。
(なに考えてんだ俺……)
リーシャの記憶が戻るのを一番願わなくてはいけないのは自分なのではないのか。
でも、その考えとは別の自分が、記憶がこのまま戻らずにずっとここにいればいいと醜い気持ちが沸き上がってくる。
(どうしようもないな……)
こんなにリーシャに執着して離れたくない離したくない。
ローはリーシャがいなくなってしまえばどうなるのだろうか。
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