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「リーシャ」

「………」

「リーシャ!」

「わっ!な、何ローくん?」



最近、リーシャはぼーっとしていて上の空だ。
声をかけても今みたいに返事をしない時がある。



「出掛けるぞ」

「どこに?」



だから気をきかして、外の空気を吸わせようと思った。



「……今は言わない」



そう言うとリーシャは困惑した表情でローを見た。


















「あ、これ可愛い!」

「これはどうだ」

「ん、それもいいね」



今、ローとリーシャは雑貨屋に来ている。
女はこういう所が好きだと新聞で見た事がある。




「わー……迷うなー」



リーシャがキラキラと目を輝かせている間、ローはある一つのアクセサリーに目を止めた。



「サファイアか……」



まるで深海のような蒼さに、吸い込まれるような感覚がした。
小さいが値段がそれなりにするため、買えないが。



「……ん?」



その隣にあった、小さなオルゴールが目についた。



「あ、それ凄く素敵……」




リーシャも同じ物に興味を持ったようで、オルゴールの蓋をゆっくりと開けた。




「………」

「……綺麗」



リーシャはほぅ、と聞き惚れている。
ローもこの曲の音色に耳を傾けると蓋を閉じ、それを持ってレジに向かう。
ローくん?と不思議そうな声色が聞こえたが、そのまま進んだ。



「これを買う」



キセルを加えた老人がこちらを見ると、オルゴールを受け取った。



「これは……また懐かしい物を――」



目を細めながら呟く老人はローとリーシャを交互に見るとふむ、と考えるようにキセルを口から離した。



「これはわしがある人間から買い取った物でね……。随分と古いものだから、このオルゴールはお前さんらに差し上げよう。もちろん代金はいらないよ」




「え……」



リーシャは老人の言葉に声を上げる。
ローは「じゃあもらっていく」と言い、リーシャの手を引いて店を出た。



「ロ、ローくん、そのオルゴール……」

「やるって言ってたんだからありがたくもらっておけばいいんだよ」

「う〜ん……」



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