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「はーい。どなたですか?」

扉を開けるとそこにいたのは――。

「あの!これローくんに!」

リーシャと同じ歳程の小さな女の子がズイッとリボンをラッピングしている小さな包容された箱を差し出してきた。

「ローくんに?」

「失礼します!」

「あ、待って!」

呼び止めたがあっという間に走り去った女の子。

「………なっ!」

唖然としていると視界にふと入った、扉の横に山積みにされたバレンタインデーのチョコ達。

「……ローくんへって、ぜ、全部!?」

手紙らしきものも混ざっており全ての包みにはローという名前があった。

「す、すごい……モテたんだローくん」

そう呟きながら中へ全てのチョコを運び込む。

「またか」

「また!?もしかして毎年……」

「こんな感じだ」

「うわぁ」

十歳児恐るべし。
しかも年上からも届いている。

「捨てる」

「え」

突然立ち上がったローはチョコ達を掴みごみ箱へ投げすてようとした。

「ちょ、ロロロローくーんんん!!?」

リーシャはスライディングしながら彼に向かって突進する。

「うっ!……何すんだ!」


「何すんだじゃないでしょ!もったいないことしちゃ駄目!!」

「そんなこと言ってもこれからもっと増えんだぞ!」

まだ来るのか。
リーシャはそう思いでも、と続ける。

「チョコレートがもったいないし、女の子の気持ちなんだよ。そうだ!今日はチョコフォンデュにしようよ!」

我ながらいいアイディアだ。
宥めるように説得するとローは渋々ながらチョコを置いてくれた。

―コツコツコツ

「あ、誰だろ?」

また扉を叩く音が聞こえ、リーシャは玄関へ向かう。

「はーい。どなた……」

「ロー様はいるかしら?」

(ロー様?)

なんとも変わった言葉使いだ。
疑問を浮かべながら扉を開ければ、そこにいたのはなんともこれまた女の子だった。

(……もしかして)

ありありと予想できる展開にリーシャは苦笑いする。

「あら?貴方は誰?ロー様はどこ?」

「ローくんは向こうに……って―あっ!」

説明が終わる前に中へ押し入ってくる同じ歳の女の子。


高飛車現わる。



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