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これはリーシャとローが二人だけでいつものように家でお留守番をしている一日の出来事。

「ローくんこれ掻き混ぜてくれる?」

「ん」

今日は女の子が男の子に想いを伝える日、バレンタインデー。
この世界にもバレンタインデーがあると知り驚いたリーシャ。
何たって海賊時代なのだからまさか実在するなんて思わなかったのだ。
まぁ、そんなこんなで数日前にそのイベントを知ったリーシャは急いでチョコレートとミルク、その他の材料を用意した。
そのことをどこからか(絶対ジェイドさんだろう)聞き付けたローが「俺も手伝う」と申し出たことから始まる。
親子二人で得にローはこういうイベントに参加したことがないのだろうと踏んだリーシャは二つ返事をした。

「あ、結構出来上がってきたね」

「型に流し込むか?」

「そうだね……じゃあ危ないから後は私が――」

「やる」

(う〜ん……)

頑なにチョコレートを流し込むと言うローに今回だけだよ、と言うと作業を進めるロー。
余程バレンタインデーの下準備が楽しいようで、普段からあまり笑わないローはどこか生き生きとしていた。

(私の出る幕はなさそう……)

バレンタインデーは本来女の子のイベントで、ホワイトデーが男の子のイベントなのに。
少し苦笑しながらローを見守る。
ついでに言うとこの世界にもホワイトデーがちゃんとあるそうだ。
リーシャはそこで、もしルフィがバレンタインデーをナミ達から貰ってもホワイトデーなんて用意してなさそうだな、とくすりと笑みが漏れる。
サンジは腕を奮って作るだろうが。
そんな事を思い自分はこの世界に少しずつ溶け込み始めていると実感する。

「リーシャ」

「あ、できた?」

ローに呼ばれ振り向くと、綺麗にチョコレートが入っている型が出来上がっていた。

「器用だね。じゃあ冷蔵庫に……」

―コツコツコツ……

ふと扉の叩く音が聞こえた。
この家にも世界にもインターホンという機器がないので手動で訪問を知らせるのだ。

「誰か来たのかな?ちょっと待っててね」

ローに一言言うと玄関へ向かう。



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