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「え?ローくんもう一回言ってくれる?」
リーシャは耳を少し疑った。
「キスしてくれ」
「キ……キス?ってどうしてまた……」
リーシャはローの突拍子のない発言に困惑する。
「おやすみのキスっていうものが知りたいからだ」
「あー……なるほど、ね」
納得した。
多分、お母さんという存在に憧れているのだろう。
「いいよ。じゃあベッドに横になってね」
それならと期待に応えてあげる為にリーシャは横になったローの頬に口づけを落とした。
「………」
「どう?」
黙り込んだローにリーシャは聞く。
恥ずかしく思ったのかな?
可愛らしい。
「口にはしてくれないのか?」
「えっ」
まさかのリクエストが来てしまったことに対処できないリーシャ。
「さ、さすがに口には。そういうのはね、ローくんがもう少し大きくなったら好きな子とするんだよ」
優しく言い聞かせるように囁く。
「リーシャはどうなんだ?」
「私?」
「好きな奴といずれキスするのか?」
「う、まぁいずれね」
何故十歳の子供とこんな会話をしているんだろう。
自分で言っときながら恥ずかしくなる。
「そうか」
「ローくん?」
何かを考えるように眉間にシワを寄せるローにリーシャは首を傾げる。
「もう寝る」
「う、うん。おやすみ」
かと思うとすぐに布団に包まり向こうへ向いた。
(なんだったんだろ……)
行動や言動を理解するにはもう少し時間を掛けないといけないな、と感じたリーシャは同じようにベッドへ入り眠りについた。
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