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「俺はやり過ぎる時がたまにある……そんな自分が嫌になるときがある……」
「………」
ローの不安が手に取るようにわかった。
自分は幼い姿をしているからとか、そんな理由じゃなくて―。
「ローくん」
「………」
落ち込んでいる、肩から伸びるローの手をリーシャはキュッと優しく握る。
「ローくんはやり過ぎてなんかないよ」
「え……?」
藍色が向けられリーシャは笑いかける。
(だって君は)
「好奇心が旺盛なのは、私も一緒だよ」
「でも今程じゃねェだろ」
「ううん……同じ」
リーシャもそうだった。
母親のいる同じ歳の子が羨ましくて。
だから近くにいる顔見知りの子供によく聞いていた。
「同じ……?」
「うん。ローくんがこんなに好奇心が旺盛だと私将来が楽しみだな!」
「俺の将来?」
ローはポカンといつもの大人ぶった態度とは掛け離れた表情で首を傾げた。
「例えばね、将来すごく有名になるとか……かな」
だから海賊で名を上げるのにローの今の好奇心は将来に欠かせないもの。
そう言うとローは先程まで悲しげな表情を一辺させ、フッと笑った。
(え、なんでそんな笑みを……?)
一体どこにそんな顔を隠していたのか。
「わかった……」
ローは固まるリーシャに顔を近づけ―。
―ちゅっ
「……え」
「じゃあ約束だ」
「……な、ななな!」
頬に感じた感触。
それと同時に聞こえた言葉の「約束」。
(な、なんの約束!?)
さっきまで落ち込んでたのは幻だったのか?
リーシャ私は落ち着けと自分に言い聞かせる。
ローは十歳だ。
十歳のキスなんて。
「お、御礼だよね、今の……」
リーシャが今だフッと笑っているローに恐る恐る尋ねれば、
「……そうしとく」
「!!?」
(そうしとくって、何っ!?)
リーシャは心まで幼くなってしまったのか。
まさか、まさか。
自分は間違ってもロリコンではない。
ただ私は気恥ずかしいだけなのだ、と思うことにした。
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