20改
「お願いだってばあ!」
「無理だ!」
何故風呂の中で言い合いをしているのか。
それは、リーシャが「前も洗ってほしい」と頼んだからだ。
別に恥ずかしがることはないはず。
だってまだ、ローは十歳なのだから。
そう勝手な理論でローを困らせていることにリーシャは気づかない。
「ね、ね、お願い!」
もし頭だけなら洗いっこにならない。
そう思ったリーシャは、手を合わせてローを見る。
裸のままのリーシャ達は、お互い色々な場所が見えているが、所詮はまだ発達していない身体。
「っ……わかったよ!すればいいんだろっ!?」
半ばやけくそで言ったのだろうローは、リーシャを正面に座らせるとボディソープを手に取った。
***
やってしまった。
ついに、やってしまった。
エンドレスに続く思考にローは、風呂上がりの身体をポスリとベッドに受け止めさせる。
「でも……柔らかかったな……」
ローは、そこでハッと我に帰る。
「俺は変態か……!」
父親の診察を見てきているローは、そこら辺にいる大人よりも裸体を見慣れている。
しかし、リーシャの裸だけは直視できなかった。
(何故だ?)
不思議な感覚にローは、まだリーシャの身体の感触が残っている手をジッと見つめる。
「もしかして―いやありえねェ……」
ぽつりと呟いたローは自分の感情の名を知っていた。
「これから大変だな、俺は」
少し離れた風呂場から「髪乾かしてね!」というリーシャの声を聞きながらローはゆっくりと呼吸をしてベッドから起き上がった。
この気持ちはどこへ向かう。
[ back ] bkm